サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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クランベリー vs.抗生剤 [2011年07月29日(金)]
今月の感染症の専門ジャーナルに、クランベリーエキスによる尿路感染症予防作用を示した臨床研究が、オランダのグループ(Academic Medical Center, Amsterdam)から報告されていました。
(Arch Intern Med. 2011 Jul 25;171(14):1270-8.)



クランベリーの果実(果汁)は、有効成分としてアントシアニン類やキナ酸、トリテルペン類、カテキン類、タンニン類、フラボノール類を含み、膀胱や尿道への細菌付着を抑制する作用があります。

尿路感染症の再発予防および治療に対して用いられており、これまでの臨床研究でも有効性が示されてきました。

クランベリー果汁は酸味が強いため、そのままでは食用に向かず、一般に甘味料が添加されます。


尿路感染症の再発予防に対して、果汁の代わりにクランベリーのサプリメントも広く利用されています。


さて、
今回の研究では、再発性尿路感染症を有する221名の閉経前女性を対象に、

・クランベリーエキスカプセル1000mg(分2)/日、

・抗生剤(TMP-SMX)480mg

のいずれかが12ヶ月間、投与されています。


エンドポイントは、12ヶ月間の症候性尿路感染症UTIの回数、少なくとも1回以上の症候性UTIを生じた患者の割合、抗生剤耐性大腸菌の発生です。



12ヶ月間の解析の結果、
1回以上の症候性UTIを生じた患者の平均数は、
クランベリー群;抗生剤群=4.0 vs 1.8; P = .02でした。

また、UTIを生じた患者の割合は、
クランベリー群の78.2%に対して、 抗生剤群は71.1%となっています。


いずれもクランベリーよりも抗生剤のほうがやや抑制されている結果です。


初回の症候性UTI発生までの期間は、クランベリーは4ヶ月間、抗生剤は8ヶ月間であり、抗生剤を予防的に服用するほうが、抑制されています。


ただし、予防的に抗生剤を投与することで、副作用や耐性菌の発生リスクが生じます。



実際、耐性菌の発生率に関して、1ヵ月後の時点では、
クランベリー群では糞便由来の23.7%、無症候性細菌尿大腸菌の28.1%がTMP-SMXへの耐性を示しました。


これに対して、抗生剤投与群では、糞便由来の86.3%、無症候性細菌尿大腸菌の90.5%が耐性となっています。


つまり、尿路感染症に対して、予防的に、抗生剤を投与するほうが、クランベリーエキスを投与するよりも、感染症予防効果は高いようですが、一方で、抗生剤への耐性菌の発生が問題となります。


クランベリー群も抗生物質群も、予防的にはどちらでも利用しうると思いますが、

統合医療的アプローチでは、

予防にはクランベリーエキスサプリメント(糖質を含むジュースではなくてサプリメント)を利用します。


特に、妊娠可能な若年女性に対して、予防的に抗生剤を投与し、耐性菌を高率に発生させて、という方法は、アロパシー医学の方法です。


統合医療では、必要に応じてUTI治療目的では抗生剤を投与しますが、UTI予防目的で若年女性に抗生剤を出すことは少ないと思います。

また、自然療法を強く出す統合医療医であれば、クランベリーエキスの用量を増やすことで治療目的にも対処するという方法があります。


日本では、クランベリージュースとクランベリーサプリメントの区別がなされておらず、標準化されたクランベリーサプリメントによるUTIの予防や治療に関しての適正指標の情報が十分に啓発されていないという問題があります。


(さらに、現行の日本の国民皆保険の医療モデルでは、女性が尿路感染症を再発するたびに病院を受診して検査を受けて、抗生剤を出すほうが、儲かる仕組みです。クランベリーエキスを予防的に摂ることで、再発の回数が減ってしまうと、治療の機会も少なくなるので、既存の医療のビジネスモデルとは相容れないものになります。)



米国のプライマリケア医や家庭医療の専門医であれば、女性の再発性尿路感染症の予防に対して、(クランベリージュースではなくて)無糖のクランベリーサプリメントを推奨することは、一般的になっています。

(クランベリーエキスを1年間投与して有効性を示した研究では、BMJに発表されたものがよく知られています。)



再発性尿路感染症に対する予防および診療手順において、アメリカの統合医療実践施設と、日本の保険診療の外来では、かなり発想が違う治療が行われているようです。


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