今週の内科学の専門ジャーナルに、チョコレートの摂取回数が多いと、BMI(体格指数)が小さい、というデータが、米国のグループ(University of California, San Diego)から報告されていました。
(
Arch Intern Med. 2012 Mar 26;172(6):519-21.)
チョコレートには、カカオポリフェノールが含まれており、ポリフェノールの抗酸化作用を介した機能性が注目されています。
例えば、複数の臨床試験やメタ解析によって、高血圧改善作用が示されています。
ただし、健康増進・疾病予防という目的では、カカオの含有量が多いダークチョコレートの摂取がポイントです。
ちなみに、ホワイトチョコレートにはカカオポリフェノールは含まれていません。
さて、今回の研究では、チョコレートの摂取と、体重(BMI)との関連について調べられました。
具体的には、
スタチン剤の非心臓性効果に関する臨床試験に登録した被験者1,018名を対象に、
チョコレートの摂取回数や摂取量などの食事調査とBMIとの相関が解析されています。
被験者のうち、1,017名が、「1週間に何回チョコレートを食べますか」という質問に回答し、
972名においてBMIが計算され、
975名で食事調査票(Fred Hutchinson Food Frequency Questionnaire)による評価が行われました。
解析の結果、
摂取エネルギー・カロリーでの補正の有無、
飽和脂肪酸の摂取量、
果物や野菜の摂取量、
といった交絡因子と、
チョコレート消費との間に相関は認められていません。
一方、
飽和脂肪酸の摂取は、チョコレートの消費および高いBMIと相関が見出されています。
チョコレートの消費については、
摂取量と摂取回数が調べられており、
また、
気分感情についての指標(CES-D)も調べられました。
チョコレートの消費と、BMIとの関連が解析され、
まず、被験者は、平均2.0回/週、チョコレートを摂取していました。
また、身体活動は、平均3.6回/週でした。
チョコレートの摂取回数は、
消費カロリーおよび飽和脂肪酸の摂取と有意に相関しています。
チョコレートの摂取回数は、身体活動との関連性は示されませんでしたが、
低いBMIと有意に相関を認めたということです。
この相関は、
年齢や性別、摂取カロリー、摂取飽和脂肪酸、CES-Dスコア
といった指標による補正の有無でも変化なく、認められています。
なお、低いBMIと有意な相関を示したのは、チョコレートの摂取回数であって、摂取量ではありません。
論文著者らは、
一般に、
チョコレートの摂取回数と、低いBMIとの正の相関は、カロリーベースからの推察では逆のように考えられる、
としています。
また、実際に、今回の研究でも、チョコレートの摂取量は、高いBMIや飽和脂肪酸の摂取量と正相関が認められていることから、チョコレート摂取による体重増加というケースも個別では想定されます。
そこで、論文書者らは、チョコレートの摂取と肥満やメタボリック症候群との関連については、介入試験による検証が必要と考察しています。
ということで、
今回のデータは、チョコレートを食べればやせる、という話ではなくて、
風が吹けば桶屋が儲かる、といった相関と思われます。
つまり、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールが減量の効果云々、というよりも、
例えば、ダークチョコレートの健康増進効果(高血圧改善作用や抗酸化作用など)が知られるにつれて、
健康的な生活習慣のひとつに、適量のダークチョコレートの摂取といった選択肢が考慮されるようになったことを反映しているかもしれません。
(あるいは特に因果関係のない、単なる相関なのかもしれませんが。)
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ダイエットした頃チヨコが好きになりました
先生の説明になるほどと思います。
また拝見します