今月の栄養学の専門ジャーナルに,食事のタイプと乳がんリスクの関係について調べた研究が,イギリスのグループ(University of Leeds)から報告されていました。
(
Nutr Cancer. 2010 Apr;62(3):300-6.)
食事のタイプとがんとの関連についてはさまざまなデータが知られています。
今回の研究では,食事のタイプと乳がんのリスクについて,検証されました。
具体的には,35歳から69歳までの女性35,372名を対象に,217項目の食品について摂取頻度や期間などが解析され,肉類や魚類の摂取別に,4種類の食事パターンが見出されています。
(もとのデータは,UKWCS:UK Women's Cohort Studyという研究で,1995年から98年にかけて被験者がリクルートされています。)
平均9年間の観察期間後,閉経前の女性330名,閉経後の女性453名において乳がんの発生が認められました。
食事パターンの解析の結果,閉経後の女性では,肉類(赤肉)の摂取に比べて,魚類の摂取と乳がんリスクとの関連には有意な負の相関が認められたということです。
(オッズ比0.60 :95% CI = 0.38-0.96)
また,肉食に比べて,ベジタリアン食の摂取では,負の相関が示唆されましたが,有意差は認められていません(0.85;95% CI = 0.58-1.25)。
なお,閉経前の女性では,食事パターンと乳がん発生との間に有意差は示されませんでした。
以上のデータから,論文著者らは,閉経後の女性における乳がんリスクに関して,魚の摂取による有用性が示唆されると考察しています。
乳がんについては遺伝素因(体質)も関与するため,食事の因子だけで説明は難しいですが,一般に,健康保持や疾病予防に有効性が想定されている食事パターンが好ましいと考えられます。
------------------------------------------------------------------
医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
------------------------------------------------------------------