生薬学の専門ジャーナルに、リンゴ(
Malus sp.)の抗がん作用に関する総説が発表されていました。
(
Planta Med. 2008;74:1608-24.)
リンゴにはポリフェノールやファイトケミカル類が含まれていることから、機能性食品素材として注目されています。
特に、ヒドロキシケイ皮酸, ジヒドロカルコン、ケルセチン、カテキン、プロシアニジンといったファイトケミカルが知られています。
また、リンゴの赤色色素にはアントシアニン類が存在します。
これまでの研究によって、リンゴおよびリンゴ製品は、多彩な健康増進作用を有することが示されてきました。
具体的には、心血管疾患、喘息、肺機能障害、糖尿病、肥満、がん等といった疾患に対する作用です。
今回の総説では、リンゴ抽出物による抗がん作用についての解析が行われており、オリゴメリック・プロシアニジン(oligomeric procyanidin、OPCs)による作用機序が基礎研究において示されていると述べられています。
OPCによる抗腫瘍作用、抗酸化作用、抗炎症作用、情報伝達機構に対する調節作用、アポトーシス誘導作用がメカニズムとして考察されています。
動物実験では、リンゴ製品による皮膚がん、乳腺がん、大腸がんの予防作用が示されてきました。
また、疫学研究では、1日あたり1個以上のリンゴの摂取によって、肺がんと大腸がんのリスクが低下するという相関が認められています。
リンゴの効果を得るためには、果物としての摂取の他、
リンゴポリフェノールを含むサプリメントの利用もできます。