今月の肥満研究の専門ジャーナル(電子版)に,マルチビタミンミネラルサプリメントによるエネルギー消費・脂質代謝に対する作用が,中国のグループ(Harbin Medical University)から報告されていました。
(
Int J Obes (Lond). 2010 Feb 9.)
マルチビタミンミネラルサプリメントは,特定の効果を期待するというよりは必須栄養素の不足を補うため,継続して摂るベースサプリメントです。
平均的な日本人の食生活では
カルシウムや
亜鉛が不足していますし,若年女性では鉄不足が問題になります。
ビタミンB群は,糖代謝や脂質代謝に必須の成分ですし,疲労回復効果もありますので,多めに摂ることもあります。
肥満者では,摂取エネルギー量は多いことが推定されますが,ビタミンやミネラルといった微量必須栄養素は,偏食などのために不足していることがあります。
そこで,今回の研究では,肥満者における栄養サプリメントの投与が体重コントロールやエネルギーホメオスターシスに及ぼす影響が検討されました。
具体的には,肥満の中国人女性96名(BMI28,18-55歳)を対象に,二重盲検ランダム化偽薬対照試験として,26週間の介入が行われています。
試験では,1錠の
--マルチビタミンミネラル
--カルシウム 162mg
--偽薬
のいずれかが毎日投与されました。
87名が26週間の試験を完了しました。
体組成に関連する各指標が測定された結果,
偽薬群に比べて,マルチビタミンミネラル投与群では,
体重,BMI,体脂肪,総コレステロール,LDLコレステロールが有意に低下し,安静時エネルギー消費量とHDLが有意に増加していたということです。
呼吸商(P=0.053)やウエスト周囲長(P=0.071)も低下傾向を示しています。
カルシウム投与群でも,偽薬群に比べてHDLの有意な増加,LDLの有意な低下が認められました。
以上のデータから,論文著者らは,肥満者において,マルチビタミンミネラルサプリメントの投与は,エネルギー消費や脂肪酸化の増加を介して,体重や体脂肪の減少,脂質代謝の改善といった作用が示されたと考察しています。
偏食,単純炭水化物の過剰摂取,エンプティカロリーといわれるジャンクフードの過剰摂取などによる肥満の場合,ビタミンミネラルサプリメントによる一定の効果が期待できると考えられます。
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