生薬学の専門ジャーナルに,疲労に対する生薬の効果を検証した総説が,スウェーデンのグループから報告されていました。
(
Planta Med 2009;75:891)
伝統医療で用いられてきたハーブの中には,生体のホメオスターシスを保つ作用を有する,アダプトゲンと総称される生薬があります。
今回の研究では,疲労時の認知機能を指標として,アダプトゲン作用を有する生薬について系統的レビューが行われました。
具体的には,NSRやEMEAS(European Medicines Agency Assessment Scale)といった指標で,エビデンスレベルが検討されています。
その結果,紅景天(ロディオラ)抽出物では,attentionタスクにおける認知機能の有意な改善作用が認められたということです。(グレードAのエビデンス)
(257名の被験者を対象にしたランダム化偽薬対照二重盲検試験)
また,慢性疲労症候群に対しても紅景天の効果が認められています。
(グレードAレベルのエビデンス)
その他,チョウセンゴミシによる持久力やメンタルパフォーマンスの向上(8報における2377名の試験),エゾウコギによる疲労や虚弱の改善(729名の被験者)では,グレードBのエビデンスとされています。
以上のデータから,アダプトゲン作用を有する生薬について,一定のエビデンスが構築されていると考えられます。
なお,どの生薬が適切であるのかは,個人の体質にもよりますので,まずは,1−3ヶ月程度,試してみる,ということになると思います。
(将来,エビデンスの提供および利用という段階になれば,もっと具体的な適正使用指針が示されると考えます。)
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