今月の産婦人科学の専門ジャーナル(電子版)に,妊娠期におけるカルシウムサプリメントの摂取が骨代謝を改善するという臨床研究が,中国のグループ(Sun Yat-sen University, Guangzhou)から報告されていました。
(
Arch Gynecol Obstet. 2010 Jan 1.)
国民健康栄養調査では,カルシウムの摂取不足が示されています。
妊娠期にはカルシウムの必要量が増加することから,サプリメントの利用も選択肢の一つと考えられます。
今回の研究では,妊娠期におけるカルシウムサプリメントの摂取が,骨量や骨代謝に及ぼす影響が調べられました。
具体的には,通常の食習慣でのカルシウム摂取量が少ない中国人女性36名(24-31名,妊娠18週)を対象に,
(1);通常の食生活
(2);(1)+45グラムのミルクパウダー(カルシウム350mg含有)/日
(3);(2)+600mgのカルシウム/日
のいずれかが妊娠20週から産後6週間,投与されました(各群12名)。
骨密度,骨吸収と骨形成マーカー,尿中カルシウムなどが20週と34週,産後6週の時点で測定された結果,
カルシウム摂取と骨密度との間に用量依存的な相関が認められました。
つまり,BMD値は,対照群(1)に比べて,カルシウムサプリメント摂取群において有意に高値でした。
(全身と椎骨で有意差あり。大腿骨では有意差なし)
また,対照群に比べてカルシウム投与群では,尿中ヒドロキシプロリンは有意に低下し,血中オステオカルシンは有意に増加しています。
以上のデータから,カルシウムサプリメントの摂取は妊娠期における骨代謝の改善に有用であると考えられます。
カルシウムサプリメントは,年齢や性別に関係なく,推奨できるサプリメントです。
厚労省による国民健康栄養調査では,日本人は平均でカルシウムの必要量・推奨量(RDA)を満たしたことはありません。
食事からの摂取が基本とはいえ,明らかに不足している栄養素ですので,
サプリメントの上手な利用が考慮されるべきと思います。
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