今月の骨代謝研究の専門ジャーナル(電子版)に,オリーブ・オレユロペンによる骨芽細胞形成と脂肪形成阻害作用を示した基礎研究が,スペインのグループから報告されていました。
(
Osteoporos Int. 2010 May 21.)
オレユロペンは,オリーブリーフ(葉)やエクストラバージンオリーブオイルに豊富に含まれるファイトケミカルの1種です。
抗酸化作用や抗炎症作用を有し,生活習慣病の予防や改善効果が示唆されています。
これまでの研究では,オリーブ・オレユロペンによるPPARγ発現の抑制,脂肪分化の抑制などが示されています。
また,加齢に伴う骨代謝異常の一因として,骨リモデリングにおける骨芽細胞の機能低下が考えられています。
さらに,骨髄における骨芽細胞形成と脂肪産生の関連が示唆され,加齢に伴う変化について,骨代謝と脂質代謝のクロストークが推定されています。
その他,オレユロペンの摂取と,骨喪失の抑制との関連が考えられているという背景があります。
そこで,今回の研究では,ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞を用いて,オリーブ・オレユロペンによる骨代謝および脂質代謝への影響が検討されました。
in vitro系にて間葉系幹細胞におけるオレユロペン(10-6〜10-4M)の作用を解析した結果,骨芽細胞分化亢進,脂肪前駆細胞の分化抑制が認められたということです。
骨芽細胞形成に関連する指標として,RUNXII, osterix, collagen type I, osteocalcin, ALPといった遺伝子の発現が,オレユロペン投与によって増加しました。
また,オレユロペンは,脂肪細胞分化に関与する分子(PPARγ,LPLなど)の遺伝子発現を抑制しています。
以上のデータから,オリーブ・オレユロペンによる骨代謝および脂質代謝改善作用が示唆されます。
今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。
------------------------------------------------------------------
医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
------------------------------------------------------------------