今月の科学誌に,高用量のビタミンB群投与によって,認知症患者の脳萎縮進行が抑制されたという臨床研究が,イギリスのグループ(University of Oxford)から報告されていました。
(
PLoS One. 2010 Sep 8;5(9). pii: e12244.)
高齢者,特に認知症の高齢者では,脳萎縮の進行が認められます。
脳萎縮や認知機能障害,認知症などの危険因子として,ホモシステインが知られています。
血中ホモシステイン値は,ビタミンB群の投与によって低下することから,脳萎縮や認知症の予防や進展抑制に対して,ビタミンB群の効果が期待されます。
今回の研究では,高用量のビタミンB群投与による血中ホモシステイン値の低下によって,認知機能障害を有する患者の脳萎縮進行速度が抑制されるかどうか,検証されました。
具体的には,軽度の認知機能障害を有する70歳以上の患者(646名からスクリーニングされた)271名が対象となり,
--ビタミンB [葉酸(0.8 mg/日),ビタミンB12 (0.5 mg/日),ビタミンB6(20 mg/日)] 投与群
--偽薬投与群
の2群に分けて2年間の介入が行われています。
(二重盲検ランダム化偽薬対照試験)
試験の結果,168名(実薬群85名,偽薬群83名)がMRIによる評価を完了しました。
一年あたりの脳萎縮速度の平均値は,
ビタミンB投与群:0.76%[95% CI, 0.63-0.90]
偽薬投与群:1.08% [0.94-1.22]
であり,有意差が認められています(P = 0.001)。
治療に対する反応は,ホモシステイン値と相関しており,
ビタミンB投与群において,血中ホモシステイン値が13μmol/L以上の被験者では,脳萎縮速度が53%抑制されていました(P = 0.001)。
また,脳萎縮の進行が大きいほど,認知機能テストのスコアが低いという相関も見出されています。
有害事象については,両群間での差は示されていません。
以上のデータから,軽度の認知機能障害/認知症を有する高齢者に対して,高用量のビタミンB群(葉酸+ビタミンB6+ビタミンB12)の投与は,脳萎縮の進行を抑制し,認知機能の低下を抑える働きが示唆されます。
論文著者らは,
70歳以上の16%が軽度の認知機能障害を有しており,
その半数がアルツハイマー病を発症する,
脳萎縮の進行は,軽度の認知機能障害からアルツハイマー病への進行の特徴であり,
今後,同様の介入(ビタミンB群の投与)によって,アルツハイマー病の発症が抑制/遅延するかどうか,検証が求められる,
と考察しています。
(認知症に伴って生じる負担を考えると,ビタミンB群の利用は,費用対効果の非常に大きなサプリメント療法と考えられます。)
高用量のビタミンB群をDHCのサプリメントで摂るとすれば,
ベーシックサプリメントである
マルチビタミンに,
ビタミンBミックスと
葉酸を加えることができます。
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