精神薬理学の専門ジャーナル(電子版)に、イチョウ葉エキスの認知症に対する有効性と安全性を調べた臨床研究が報告されていました。
(
Pharmacopsychiatry. 2011 Nov 15.)
イチョウ葉エキスは、抗酸化作用や血小板凝集抑制作用、循環改善作用を有し、認知症の予防や閉塞性硬化症の改善に用いられるハーブサプリメントです。
イチョウ葉エキスには、特有のフラボノイド系ファイトケミカルが存在し、抗酸化作用や抗炎症作用、血小板凝集作用などを介して、効果を発揮します。
これまでに多くの臨床研究が行われており、認知症などに対して有効性と安全性が示されています。
さて、今回の研究では、イチョウ葉エキスによる認知症に対する有効性と安全性が検証されました。
具体的には、
軽症から中等度の認知症(SKT 9-23)と診断された50歳以上の外来患者404名を対象に、
・1日240rのイチョウ葉エキス(EGb 761) (1回投与)、
・偽薬
のいずれかが24週間投与されています。
(ランダム化偽薬対照試験)
被験者は、神経精神症状を有しています。(NPI total score≥5)
診断によるサブグループでは、
アルツハイマー病患者333名、血管性認知症患者71名
でした。
解析の結果、
イチョウ葉エキス投与群は、偽薬群に比べて、有意な改善効果を示しました。
・SKT総スコア (drug-placebo differences: 1.7 for AD, p<0.001, and 1.4 for VaD, p<0.05)
・NPI総スコア(drug-placebo differences: 3.1 for AD, p<0.001 and 3.2 for VaD, p<0.05)
イチョウ葉エキス投与群は、偽薬群に比べて、多くの副アウトカムでも有効性を示しており、アルツハイマー病群と血管性認知症群の両群では差は認められていません。
有害事象の発生率は、イチョウ葉エキス投与群と偽薬投与群の両群にて、同率でした。
以上のデータから、イチョウ葉エキス標準化製剤の投与(240r/日×24週)は、軽症から中等度の認知症(アルツハイマー病および脳血管性認知症)に伴う症状を改善することが示唆されます。
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