今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、葉酸とビタミンB12の投与によって、高齢者の認知機能が改善された、という臨床研究が、オーストラリアのグループから報告されていました。
(
Am J Clin Nutr. 2011 Dec 14.)
認知症の予防や改善に対して、ビタミンB群とオメガ3系脂肪酸(EPAやDHA)サプリメントが利用されています。
ビタミンB群については、
脳萎縮進行抑制効果
を示した臨床研究が話題になりました。
今回の研究では、葉酸とビタミンB12の投与が、精神的苦痛(elevated psychological distress)を有する地域居住の高齢者において、認知機能低下を抑制するかどうか、検証されています。
具体的には、60-74歳の成人900名を対象に、
・1日あたり400μgの葉酸+100μgのビタミンB12を投与した群
・偽薬投与群
の2群に分けて、2年間の介入試験が行われました。
(精神的苦痛を有する基準として、被験者は、Kessler Distress 10-Scale; scores >15に該当します。)
主アウトカムである認知機能の指標として、投与前、1年後、2年後の時点で、
・TICS-M (Telephone Interview for Cognitive Status-Modified;認知状態に関する電話インタビュー)
および
・Brief Test of Adult Cognition by Telephone (processing speed);高齢者の認知機能レベルを評価するために開発された指標
が用いられました。
2年の介入後の時点では
Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly
による評価も行われています。
解析の結果、2年間の時点で、
葉酸+ビタミンB12投与群では、偽薬投与群に比べて、各指標スコアにおいて下記のような改善効果が見出されたということです。
・TICS-M total (P = 0.032; effect size d = 0.17),
・TICS-M immediate (P = 0.046; d = 0.15),
・TICS-M delayed recall (P = 0.013; effect size d = 0.18)
一方、orientation, attention, semantic memory, processing speed, informant reportsといった項目では有意な変化は示されませんでした。
以上のデータから、1日あたり400μgの葉酸、100μgのビタミンB12を長期間(本試験は2年間)、サプリメントとして摂取することで、高齢者における認知機能の改善効果が示唆されます。
今後、テイラーメイド栄養学の提供のために、さらにエビデンスの構築が期待されます。
高用量のビタミンB群をDHCのサプリメントで摂るとすれば、
ベーシックサプリメントである
マルチビタミンに、
ビタミンBミックスと
葉酸を加えることができます。
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