今月の眼科学の専門ジャーナル(電子版)に、マルチビタミンサプリメントの摂取による白内障リスク低下作用を示した臨床試験が、米国のグループ(Brigham and Women's Hospital and Harvard Medical School)から報告されていました。
(
Ophthalmology. 2013 Nov 20)
加齢に伴う目の疾患に、白内障と加齢性黄斑変性症があります。
まず、
白内障の原因として、
紫外線などに起因する酸化障害が知られており、
これまでの研究では、
ビタミンCなどの抗酸化ビタミン類、ルテインやゼアキサンチンといった抗酸化物質による白内障リスク低下作用が示唆されてきました。
次に、加齢性黄斑変性症(AMD)は、高齢者における失明・視力障害の主な原因です。
(AMDの予防・リスク低減に対して、ルテインサプリメントの推奨は広く受け入れられています。)
ルテインは、ホウレン草やコーンといった植物性食品に含まれる他、
サプリメントとしても利用できます。
さて、今回は、
男性を対象にした大規模なランダム化研究において、
マルチビタミンサプリメントの長期投与による白内障および加齢性黄斑変性症の罹患率への影響が調べられました。
具体的には、
ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、
50歳以上の米国男性医師14,641名を対象に、
マルチビタミンサプリメント
あるいは
偽薬のいずれかが投与され、
白内障の発症率や視力障害を伴うAMDが調べられました。
平均11.2年の追跡期間中、
白内障1,871例、
AMD281例が見出されました。
白内障の症例の内訳は、
マルチビタミンサプリメント投与群では872名、
偽薬投与群では945名であり、
マルチビタミンサプリメント投与によって9%の白内障リスクの有意な低下作用が認められました。
(HR, 0.91; 95%CI, 0.83-0.99; P = 0.04)
AMDでは
マルチビタミンサプリメント投与群では152名、
偽薬投与群では129名であり、
両群間に有意差は示されていません。
(HR, 1.19; 95% CI, 0.94-1.50; P = 0.15)
以上のデータから、
中高年以降の男性において、
マルチビタミンサプリメントの摂取による白内障リスクの低下作用が示唆されます。
AMD(加齢黄斑変性症)に対しては、ルテインの摂取が推奨されます。
ルテインは、ホウレン草やコーンといった植物性食品に含まれる他、
サプリメントとしても利用できます。
ルテインによる白内障の予防作用
という報告もあります。
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