今月の科学誌プロスワンに、肥満者における魚油サプリメントの抗肥満作用を調べたメタ解析が報告されていました。
(
PLoS One. 2015 Nov 16;10(11):e0142652.)
先行研究では、
魚油サプリメントによる減量効果を支持するデータも示唆されています。
今回のメタ解析では、
過体重/肥満の成人において、
魚油サプリメントによる効果が検証されました。
具体的には、
主要医学データベースを用いて、
(Embase, PubMed, the Cochrane Library, web of science)
魚油サプリメントによるランダム化偽薬対照試験が抽出され、
21試験の30群が対象となっています。
解析の結果、
魚油サプリメントによる体重やBMIへの有意な影響は見出されていません。
(体重:overall SMD = -0.07, 95% CI -0.21 to 0.07, P = 0.31)
(BMI:overall SMD = -0.09, 95% CI -0.22 to 0.03, P = 0.14)
サプリメント単独あるいは生活習慣への介入との併用でも同様の結果となっています。
一方、
ウエスト周囲長については、
魚油サプリメント投与と生活習慣見直しの併用により、
有意な減少が認められたということです。
(SMD = -0.23, 95% CI -0.40 to -0.06, P = 0.008)
また、
ウエストヒップ比は、
生活習慣への介入の有無にかかわらず、
魚油サプリメント投与により、
有意な減少が認められています。
(overall SMD = -0.52 95% CI -0.76 to -0.27, P < 0.0005)
以上から、
このメタ解析では、
魚油サプリメントによる減量やBMIの低下作用は明確ではありませんでしたが、
ウエスト周囲長やウエストヒップ比の有意な減少が認められたことから、
魚油サプリメントによる上半身肥満に対する抗肥満作用が示唆されます。
EPAやDHAといったオメガ3系必須脂肪酸を含む魚油は、抗炎症作用などの機能性が知られています。
EPAや
DHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。
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