栄養学の専門誌に、アルコールフリービール(ノンアルコールビール)による動脈硬化関連マーカーへの影響を調べた臨床研究が、スペインのグループから報告されていました。
(Nutrition. 2008 Oct 21. PMID: 18947976)
主要な死因である心臓病(虚血性心疾患)と脳卒中は、いずれも動脈硬化性疾患です。
動脈硬化のリスクを測定する指標として、脂質代謝関連マーカーや酸化障害関連マーカー、炎症マーカーなどが用いられます。
今回の研究では、閉経後の女性におけるアルコールフリービールの動脈硬化関連指標への影響を検討する目的で、58歳から73歳までの尼僧(修道女)29名を対象に調査が行われました。
規律正しく同質な生活習慣を有する被験者を2群に分け、1日あたり500mlのアルコールフリービール摂取群と被摂取群との間で45日間投与による比較が行われた結果、アルコールフリービール投与群では前値に比べて酸化LDLおよびTBARS(酸化ストレスマーカーの1種)の有意な低下が示されたということです。
また、ビタミンEであるαトコフェロール値、赤血球中のグルタチオン値の有意な増加も示されています。
一方、CRPやサイトカイン類など炎症関連マーカーでは有意差は認められていません。
以上のデータから、論文著者らは、アルコールフリービールによるメリット(動脈硬化予防作用)が期待できると考察しています。
このデータは、アルコールフリービールに含まれるファイトケミカル類が抗酸化作用を介して示した働きを示したものと考えられます。
もちろん、ビールの摂取を推奨することにはならないと思いますが。 |