昨日に続いて、炭水化物の摂取と疾患との関係に関するデータです。
栄養学の専門ジャーナルに、グリセミックインデックス(GI)と加齢黄斑変性症との関係を検討した疫学研究が報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 1104-1110.)
加齢黄斑変性症は、高齢者における視力障害の原因となる疾患です。
発症には食事性の因子も関与すると考えられ、単純炭水化物の摂取(あるいは高GI食の摂取)が候補の一つという説があります。
そこで、今回の研究では、グリセミックインデックスと加齢黄斑変性症発症との関連を検討する目的で、49歳以上の被験者3,654名を対象に調査が行われました。
5年後のフォローアップでは2,335名、10年後には1,952名のデータが解析されています。
10年以上の累積調査の結果、1,810名のうち、208名が初期の加齢黄斑変性症と診断されました。
各種の交絡因子で補正後、高GI食の摂取と加齢黄斑変性症との間には有意な相関が認められたということです。
(4分位での上位と下位の比較では77%のリスク上昇が示されました。)
一方、シリアルやオートミールの摂取と加齢黄斑変性症との間には負の相関が認められています。
(32%のリスク低下というデータです。)
(シリアルなどは高食物繊維食であり、低GI食とされています。)
なお、進行した加齢黄斑変性症では、GIとの間に有意な関連は示されていません。
以上のデータから、単純炭水化物の多い高GI食は、加齢黄斑変性症の発症リスクをあげると考えられます。
ところで、加齢黄斑変性症を予防する機能性食品成分としては、ルテインなどのカロテノイド類がよく知られており、サプリメントとしても広く利用されています。 |