今月の臨床医学系の専門ジャーナルに,CAMのエビデンスに対する確証バイアスについて検証した調査研究が,米国NIHのグループから報告されていました。
(
Med Care. 2010 Apr;48(4):341-8.)
CAM(補完代替医療)分野では,臨床試験のエビデンス構築についての議論があります。
(ゴールドスタンダードであるランダム化二重盲検偽薬対照試験が適応できないCAM療法があること,個人差に基づいた個別化医療の見地からすると平均値の意義が低いことなどのためです。)
そこで,CAM療法に関する科学的根拠を検証する際,RCT以外の方法による検証や新規バイオマーカーによる検証が求められます。
さて,今回の研究では,CAMに関する臨床研究のエビデンスに対する施術者の解釈の仕方について調査が行われました。
具体的には,米国のCAM施術者および西洋医学の医療従事者2400名を対象に,CAM臨床試験のpositiveな結果とnegativeな結果をCAM療法の分野別,ジャーナル別に示して,判断を求めました。
(例えば,ジャーナルでは,Annals of Internal Medicine vs. Journal of Complementary and Alternative Medicine,CAM療法別では,鍼,マッサージ,グルコサミン,瞑想,レイキなど。)
1561名(65%)から回答が得られ,有効性に関する判断および療法の推奨について解析された結果,
まず,西洋医学の医療従事者は,グルコサミン(OR = 3.0; 95% CI [1.6-5.4])を最も推奨し,つづいて,マッサージ(1.9 [1.1-3.3]),鍼(1.3 [0.8-2.2]),瞑想(1.2 [0.7-2.0])となっています。
(ORはレイキに比べて)
一方,CAM施術者は,鍼治療の有効性を最も評価 (OR = 5.8 [2.6-12.8] compared with Reiki) しており,鍼治療の推奨も多くなっています(OR = 12.3 [4.8-31.8])。
今後,CAM療法のエビデンスについては,その構築のみならず,エビデンスの伝え方にも工夫が必要と考えられます。
一般に,Pubmed等による検索では,CAMの分野別でのエビデンスは機能性食品素材/サプリメントについての研究が最も多く,つづいて鍼治療となっています。
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