統合腫瘍学の専門ジャーナルに,がん患者におけるCAM利用状況に関する調査研究が報告されていました。
(
J Soc Integr Oncol. 2010 Spring;8(2):56-64.)
今回の研究の目的は,がん患者におけるCAM利用状況および医師とのコミュニケーションの現状を明らかにすることです。
具体的には,成人のがん患者1,323名に調査票が送付され,381名から回答が得られました。
解析の結果,65%の患者が少なくとも1種類のCAMを利用していることが示されています。
一方,生物学的CAM(サプリメントなど)の利用者の55%,非生物学的CAMの利用者では80%が,CAM利用について腫瘍専門医に話していないということです。
生物学的CAM利用について腫瘍専門医に相談した患者では,相談しなかった患者に比べて有意に高い満足度が示されています(p = .027)。
(なお,非生物学的CAMの利用者では,腫瘍専門医との相談の有無による有意差は見出されていません。)
以上のデータから,がん患者におけるCAM利用について,腫瘍専門医とのコミュニケーションが十分ではないことが示唆されます。
一般に,さまざまな疾患の有病者の間で各種のCAM療法が広く利用されている一方,医療従事者とのコミュニケーション不足が指摘されています。
近年,サプリメントを中心に有効性・安全性に関するエビデンスが構築されつつあり,適正な使用による補完療法としての効果が期待できます。
がん治療の場合は,近代西洋医学による標準治療を基本として,サプリメントなどのCAMを補完療法として併用する統合腫瘍学が米国にて確立しています。
一方,安全性,有効性,経済性の3点からの判断が必要ですので,医療従事者とのコミュニケーションが重要です。
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