還元型CoQ10(コエンザイムQ10)の作用に関して,分子メカニズムを検証した基礎研究が,ドイツのグループ(Christian-Albrechts-University of Kiel)から報告されていました。
(
IUBMB Life. 2010 Nov 17.)
コエンザイムQ10には,酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが,酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は,体内に吸収された後,いったん還元されてから,利用されます。)
今回の研究では,老化促進モデル動物を用いて,還元型CoQ10の遺伝子発現に対する作用が調べられました。
具体的には,老化促進モデルマウス(SAMP1マウス)を用いて,CoQ10が500 mg/kg 体重/日の用量で14ヶ月間投与され,肝臓組織のマイクロアレイ解析が行われています。
解析の結果,946個の遺伝子において,還元型CoQ10投与群と対照群との間に発現の差異が認められました(≥1.5-fold, P < 0.05)。
還元型CoQ10投与で制御された遺伝子は,PPARαやLXR/RXRのシグナルに関与することが示唆されたということです。
これらのシグナルは,コレステロール代謝に関与することが知られていることから,さらに,関連指標が測定されています。
その結果,対照群に比べて,還元型CoQ10投与群の肝臓組織において,デスモステロール(desmosterol) (2.0-fold, P < 0.001)およびコレステロール (1.3-fold, P = 0.057)が有意に増加していることが見出されました。
一方,これらのコレステロール代謝における変化は,酸化型CoQ10では認められなかったとされています。
以上のデータから,コレステロール代謝における還元型CoQ10と酸化型CoQ10の働きの相違が示唆されます。
今後,臨床的意義の検証が期待されます。
なお,コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは,酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
(
コエンザイムQ10の作用メカニズムは,1.ATP産生作用,2.酸化作用の2つに基づきます。)
したがって,一般的には,生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して,
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方,特定の疾患に対して用いる場合,あるいは,体内の生理機能が低下している高齢者の場合には,
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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