NEJMに、コーヒーの摂取と死亡率の低下との相関を示した大規模な疫学研究が、米国のグループから報告されていました。
(
N Engl J Med. 2012 May 17;366(20):1891-904.)
これまでの疫学研究によって、コーヒーの摂取による生活習慣病リスクの低下が知られています。
例えば、コーヒーの摂取による2型糖尿病リスク低下、脳卒中リスク低下、うつ病リスク低下、肝がんリスク低下、認知機能の低下抑制などがあります。
さて、今回の研究では、コーヒーの摂取と死亡率との関連が検証されました。
具体的には、試験登録時に基礎疾患を有していない50〜71歳の男性229,119名、女性173,141名を対象に、1995年から2008年までのフォローアップが行われています。
(NIH-AARP Diet and Health Studyという研究の一環です。)
5,148,760患者年のデータが集められ、
男性33,731名、女性18,784名の死亡が確認されました。
喫煙などの交絡因子で補正後、
コーヒーの消費量と、死亡率との間には有意な負の相関が見出されたということです。
コーヒーの摂取量と死亡率の関係は次のようになっています。
まず、男性では、
コーヒーを飲まない群に比べて、
コーヒー1杯未満/日摂取群:HR, 0.99 (95% CI, 0.95 to 1.04)
コーヒー1杯摂取群:0.94 (95% CI, 0.90 to 0.99)
コーヒー2〜3杯摂取群:0.90 (95% CI, 0.86 to 0.93)
コーヒー4〜5杯摂取群:0.88 (95% CI, 0.84 to 0.93)
6杯以上:0.90 (95% CI, 0.85 to 0.96)
です。
(P<0.001 for trend)
次に女性では、
1.01 (95% CI, 0.96 to 1.07),
0.95 (95% CI, 0.90 to 1.01),
0.87 (95% CI, 0.83 to 0.92),
0.84 (95% CI, 0.79 to 0.90),
0.85 (95% CI, 0.78 to 0.93)
(P<0.001 for trend).
と同じ傾向になっています。
疾病別の死亡率について
コーヒー摂取との負の相関関係は、
心疾患、呼吸器疾患、脳卒中、外傷、糖尿病、感染症
について見出されていますが、
がんでは有意な相関は示されていません。
以上のデータから、
コーヒーの摂取が多いと、
全死亡率および主要な生活習慣病による死亡率の低下が示唆されます。
コーヒーにはファイトケミカルの1種であるクロロゲン酸が含まれており、抗酸化作用を介した生活習慣病予防効果が示唆されています。
(カフェイン以外のコーヒーの主要な成分として、フェルラ酸(ferulic acid)、カフェ酸(caffeic acid,)、クロロゲン酸( chlorogenic acid)が知られており、いずれも抗酸化作用を示します。これらの中ではクロロゲン酸が比較的多く存在します。)
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