今月の肥満研究の専門誌に、肥満と女性の尿失禁リスクとの関連を示したデータが、イギリスのグループから発表されていました。
(Int J Obes (Lond). 2008 Sep;32(9):1415-22.)
今回の研究では、尿失禁に伴う症状と、肥満の発症および期間との関係が調べられています。
対象は1946年生まれの女性1,201名です。
BMIについては、20歳、26歳、36歳、43歳の時のデータが収集され、尿失禁の症状については、48歳から54歳までの7年間、毎年調査されました。
その結果、48〜54歳の期間、ほぼ半数(46-49%)の被験者において腹圧性尿失禁の症状が認められ、切迫性尿失禁の割合は22%から25%へ、重症尿失禁は8%から11%へと増加しました。
また、20、26、36、43歳の時のBMIは、その後の腹圧性尿失禁および重症尿失禁と正の相関を示したということです。
20歳の時に肥満/過体重であった女性は、BMIが25未満の女性あるいは43歳の時に肥満/過体重になった女性に比べて、重症尿失禁を生じるリスクが有意に高いという相関が認められました。
(オッズ比は、それぞれ2.30と1.85)
なお、切迫性尿失禁とBMIとの相関は認められていません。
以上のデータから、肥満/過体重の状態が長期にわたると、尿失禁(特に腹圧性尿失禁と重症尿失禁)のリスクが有意に増加することが示唆されます。
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