今月の家庭医学・一般診療医学の専門誌に、ビタミンD不足の状態が紫外線照射シイタケの摂取で改善したという症例が報告されていました。
(
Br J Gen Pract. 2008 Sep;58(554):644-5.)
一般に、緯度の高い国に居住する白人の場合、紫外線暴露が少なくビタミンD不足状態になることがあります。
通常、ビタミンD不足の予防や治療には、ビタミンDおよびカルシウムのサプリメント(あるいは医薬品)が用いられます。
今回の論文は、ビタミンDの投与ではなくて、紫外線照射シイタケの自己摂取により、ビタミンD不足の改善が認められたという症例の報告でした。
(病院で推奨された治療というのではなく、患者の選択によるという説明です。)
ビタミンDには、一部の動物性食品に存在するビタミンD3と、シイタケなどキノコ類に豊富に含まれるビタミンD2があります。
キノコ類にはエルゴステロールという成分が含まれ、紫外線照射によってビタミンD2に転換されることが知られています。
一般家庭でも、乾燥シイタケに太陽光線を30分から1時間程度あてることでビタミンDの含有量を増やすことができます。
ただし、手間やコスト、継続的な実行可能性といったバランスを考慮すると、ビタミンD不足の予防や改善には、
マルチビタミンや
複合サプリなどサプリメントの利用が手軽で確実と考えられます。
カルシウム・マグネシウムの併用も大切です。
(もちろん、シイタケにはビタミンD2以外にも多くの機能性成分が含まれていますので、健康にいい食材としての利用が推奨されます。)