今月の栄養学の専門ジャーナルに、植物ステロールとスタチン剤(脂質異常症の治療薬)を長期間併用したヒト臨床研究が、オランダのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Nov;100(5):937-41.)
植物ステロール/スタノール・マーガリンをスタチン剤服用に追加すると、LDLコレステロールがさらに10%低下します。
この低下幅は、スタチン剤を2倍に増量する時に得られる追加的な低下作用である3-7%と比べて大きい作用です。
今回の研究では、スタチン剤に植物ステロール/スタノールを併用する時の効果について、長期的な検討が行われています。
具体的には、既にスタチン剤投与を受けている患者を対象に、植物ステロール/スタノールを85週間併用投与し、脂質代謝への影響が測定されました。
患者54名を対象に、対照群(n=17)、植物ステロール(2.5g/日)併用群(n=18)、植物スタノール(2.5g/日)併用群(n=19)の3群について、ランダム化二重盲検法にて85週間の試験が行われた結果、LDLコレステロール値は、対照群に比べて、植物ステロール併用群では8.7%(0.28 mmol/L、P = 0.08)低下、植物スタノール併用群では13.1%(0.42 mmol/L, P = 0.006)低下というデータが得られています。
このとき、胆汁酸合成関連指標については、特に有意な変化は認められませんでした。
以上のデータから、植物ステロール/スタノールエステルは、スタチン治療に追加併用することで、脂質異常症を改善する効果が長期間にわたり得られると考えられます。 |