今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、エクストラバージンオリーブオイルによる認知機能低下抑制効果を示した臨床研究が、スペインのグループ(Universidad de Navarra)から報告されていました。
(
J Nutr Health Aging. 2013;17(6):544-52.)
オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸というだけではなく、最近の研究では、
エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイルに含まれるファイトケミカル・ポリフェノールによる抗酸化作用や抗炎症作用、動脈硬化抑制作用といった機能性が広く知られています。
地中海食は、スペインやギリシャ、南フランスなど地中海地方の伝統食です。
野菜や果物、全粒の穀類、種実類、オリーブオイルの利用が多いという特徴があります。
地中海食は、健康増進や疾病予防に有用であることが知られており、多くの研究によってエビデンスが示されています。
例えば、
地中海食で死亡率が半減する
という研究があります。
さて、今回の研究では、
認知機能に対する地中海食(+エクストラバージンオリーブオイル)の作用が調べられました。
具体的には、
6.5年間の介入によるランダム化比較試験として、
大学関連のプライマリケアセンターにおいて、
心血管疾患リスクの高い285名(男性が44.8%、平均年齢74.1±5.7歳)を対象に、
・地中海食+エクストラバージンオリーブオイル投与群
(1週間あたり1Lのエクストラバージンオリーブオイル摂取)
・地中海食+ナッツ類摂取群
(1日あたり30グラムのミックスナッツ類を摂取)
・対照群(脂肪の摂取量を減らすように指導を受けた低脂肪食群)
の3群(各群95名)のいずれかを割り当て、比較が行われています。
(PREDIMED-NAVARRAトライアルという研究です。)
主アウトカムとして、
認知機能の指標が調べられ、
副アウトカムとして、
MCIあるいは認知症の状態が調べられています。
6.5年間の介入の結果、
地中海食+エクストラバージンオリーブオイル投与群では、
対照群に比べて、
すべての認知機能関連指標において、
有意なパフォーマンスが見出されたということです。
年齢や性別、ApoE遺伝子多型、認知症家族歴、喫煙、身体機能、BMI、高血圧、脂質異常症といった交絡因子で補正後、
対照群に比べて、
地中海食+エクストラバージンオリーブオイル投与群では、
MCIリスクが66%低下していたということです。
(OR=0.34 95% CI: 0.12-0.97)
なお、
対照群と、地中海食+ナッツ投与群との間には有意差は見出されていません。
以上のデータから、
地中海食+エクストラバージンオリーブオイルの摂取によって、
高齢者における認知機能の維持、
認知症リスク低下作用
が考えられます。
オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸を主に含み、酸化ストレス抑制、インスリン抵抗性抑制、抗炎症作用などを有しています。
このため、オリーブオイルの利用は、心臓病など動脈硬化性疾患の抑制作用が知られています。
また、オリーブ(オリーブ・リーフ(葉)やオリーブ・オイル)には、オレユロペンやヒドロキシチロソールなどのファイトケミカルが豊富に含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用を介した生活習慣病の予防や改善効果が示唆されています。
例えば、エクストラバージンオリーブオイルには、オリーブポリフェノール(ファイトケミカル)が豊富に含まれるので、精製されたオリーブオイルよりも優れた機能性を示すことが臨床研究で示されています。
オリーブオイルは、地中海食で広く用いられており、動脈硬化性疾患のリスク低下を介した健康長寿に有用です。
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