今月の植物療法の専門ジャーナルに、バレリアンによる小児の多動性の改善作用を示した臨床研究が、ドイツのグループから報告されていました。
(
Phytomedicine. 2014 Jul-Aug;21(8-9):1098-103.)
バレリアン(学名
Valeriana officinalis)は、睡眠障害・不眠症に対するハーブサプリメントとして知られています。
バレリアンでは、鎮静作用や鎮痙作用も知られています。
ADHD (注意欠陥・多動性障害Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)とは、多動性や衝動性、注意低下などを特徴とし、発達障害のひとつとされています。
(米国での罹患率は、若年者の6-9%、成人の3-5%ということです。
また、若年者の罹患率は、世界的に類似した数値です。)
ADHDでは、主たる症状として、感情コントロールに乏しいことが知られています。
また、これまでの研究では、
小児や青少年のADHD患者におけるオメガ3系脂肪酸低値やオメガ3系必須脂肪酸サプリメントの働きが示唆されてきました。
ADHDの小児に対するオメガ3系脂肪酸の効果
先行研究において、
バレリアンとレモンバームは、
12歳未満の小児において、
鎮静や不眠改善といった有用性が示されています。
今回の研究では、
小児の多動性hyperactivityや衝動性impulsivenessに対する作用が検証されました。
具体的には、
注意欠陥や他動性が認められた小児169名(ただし、ADHSの診断は満たさない小児)を対象に、
27のクリニックベースの小児科医によって、
バレリアン根抽出物640mg、レモンバーム抽出物320mgが投与されました。
注意欠陥や他動性について、両親と小児科医を対象に、
試験開始時、2週間後、7週間後の時点において、質問表による評価が行われています。
解析の結果、
症状が強い/非常に強い、とされ、注意欠如が高度である小児の割合は、75%から14%へ減少、
多動性を示す小児は、61%から13%へ減少、
衝動性の小児は、59%から22%へ減少しました。
また、
両親の評価による社会的行動、睡眠、症状の重症度は、
顕著に有意に改善しています。
2名の小児において、一過性の軽度な有害事象が示されました。
以上のデータから、
ADHDの診断ではない(境界型の)小児において、
バレリアンとレモンバームによる多動性や衝動性といった症状改善作用が示唆されます。
睡眠障害に対して、
バレリアンは、単回投与による効果も示されていますが、一般には、1ヶ月間などの投与によって「睡眠の質」を改善する働きが期待されています。
(つまり、医薬品の睡眠導入剤のような使い方ではなく、一定期間摂取することで、ハーブによる睡眠の質の改善が期待される、というタイプと考えます。)
先行研究でも、バレリアンによる効果が示されています。
バレリアンによる睡眠障害改善作用
バレリアンの睡眠改善作用@がん患者
バレリアンによる不眠症改善作用
バレリアンの体内動態と個人差
バレリアンでは、鎮静作用の他、平滑筋に対する鎮痙作用も知られています。
バレリアンによる鎮痙作用
バレリアンの抗酸化作用
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