今月の生物因子研究の専門ジャーナル(電子版)に、ビタミンKによる糖代謝への作用を検証したメタ解析が、イランとオーストラリアのグループから報告されていました。
(Biofactors. 2019 Oct 1.)
ビタミンKは、脂溶性ビタミンの1種であり、血液凝固系で働きます。
近年の研究により、
ビタミンK依存性たんぱく質による、組織石灰化の調節も明らかとなりました。
つまり、
ビタミンKが、動脈硬化、特に血管石灰化の機序において作用することがわかっています。
ビタミンKサプリメントが動脈硬化を予防:メタ解析
ビタミンKは、前糖尿病や糖尿病の合併症において、好影響が示唆されています。
今回のメタ解析では、
ビタミンK投与による糖尿病での糖代謝に対する影響が検証されました。
具体的には、
主要医学データベースを用いて2018年10月までの収載論文が検索され、
(PubMed, Scopus, Embase, ProQuest, Google Scholar)
3,734の関連論文から、
9報が解析の対象となりました。
解析の結果、
まず、糖尿病モデル動物を用いた基礎研究では、
ビタミンKサプリメント投与により、
血糖値の有意な低下(6報)、
空腹時インスリン値の有意な上昇(4報)、
HbA1cの有意な低下(3報)、
HOMA-IRの有意な低下(2報)、
β細胞機能の有意な亢進(2報)、
が見出されました。
次に、
前糖尿病患者(糖尿病予備軍)では、
ビタミンKサプリメント投与により、
OGTT2時間の時点で、
血糖値及びインスリン値の低下が見出されました。
ただし、空腹時血糖値、空腹時インスリン値、HOMA-IR、β細胞機能では有意差は検出されませんでした(2報)。
その他、
基礎研究では、
糖尿病モデル動物において、
ビタミンKサプリメント投与により、
脂質異常症の改善(3報)、
酸化ストレスマーカー及び炎症マーカーの改善(5報)
が示されています。
以上のメタ解析データから、
ビタミンKサプリメントによる糖尿病の予備軍の段階での糖代謝改善作用が示唆されます。
今後、補完療法としての臨床的意義の検証が期待される分野です。
ビタミンKは、脂溶性ビタミンの1種であり、血液凝固系で働きます。
近年の研究により、
ビタミンK依存性たんぱく質による、組織石灰化の調節も明らかとなりました。
つまり、
ビタミンKが、動脈硬化、特に血管石灰化の機序において作用することがわかっています。
動脈壁硬化(血管硬化、Vascular stiffness;VS)および動脈石灰化(血管石灰化)は、
血管の健康を示すサロゲートマーカーであり、
心血管イベントに関係します。
ビタミンK依存性たんぱく質(VKDP)は、動脈壁硬化(VS)および動脈石灰化(VC)と関連し
活性化にはビタミンKが必要です。
ビタミンKは、骨芽細胞から作られるオステオカルシン(OC)や、血管などで作られるマトリックスGla タンパク質(matrix Gla protein;MGP)の機能に関与しいています。
カルシウムが血管に沈着(石灰化)すると動脈が硬くなり弾力性がなくなります。
MGPは血管の石灰化を防止し動脈硬化を予防します。
不活性型 MGP(desphospho-ucMGP)は、冠状動脈疾患のリスクとなります。
血液凝固系でビタミンK不足になることはまずありませんが、OC や MGP の活性化を指標にするとビタミン K が必ずしも充足していないとされています。
ビタミン K 不足になると血中の低カルボキシル化 OC(undercarboxylated OC;ucOC)が増加します。
高齢者では、血中ucOC濃度と大腿骨頸部骨折のリスクが相関することがわかっています。
ucOC は大腿骨頚部骨折の独立したリスクファクターとされており、ビタミン K の
積極的な摂取が重要です。
DHCでは、ビタミンKサプリメントを製品化しています。
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