栄養学の専門ジャーナルに、日本人高齢者におけるタンパク質の摂取とフレイルリスクとの関連を調べた疫学研究が、国立健康栄養研究所のグループから報告されていました。
(Nutrients. 2018 Jan 13;10(1). pii: E84.)
フレイル/サルコペニアの予防と改善には、タンパク質、ビタミンD、HMB、葉酸の十分な摂取が有用です。
さて、今回の研究では、
日本人高齢者におけるタンパク質の摂取と、フレイルリスクとの関連が検証されました。
具体的には、
2011年の時点での横断研究として、
男性3,843名、女性4,331名を対象に、
25項目の基本チェックリスクから、タンパク質の摂取(魚介類、肉類、乳製品、卵、大豆製品)と、
フレイルリスクとの関連が調べられています。
(京都府亀岡市での疫学研究である亀岡スタディの一環です。)
解析の結果、
まず、
男性において、
魚類の摂取の4分位で、最小群に比べて、
最大群では、フレイルリスクが36%有意な低下が見出されました。
(PR 0.64, 95% CI, 0.42, 0.99)
また、
女性では、
四分位の第2群と第3群では、
それぞれ、39%と36%のリスク低下が見出されました。
(PR 0.61, 95% CI, 0.43, 0.85; PR 0.64, 95% CI, 0.46, 0.91)
次に、
乳製品摂取の4分位のうち、
女性での第3群では、フレイルリスクが有意に低いという相関が認められました。
(p-value = 0.013)
以上のデータから、
日本人高齢者において、
魚類及び乳製品の摂取によるフレイルリスク低減が示唆されます。
フレイルは、高齢による虚弱に近い概念ですが、
身体的な機能の低下だけではなく、社会的、精神的な活力/機能の低下も含む概念です。
フレイルは、
「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」
と定義されます。
もともとは、老年医学の分野で使われる「Frailty(フレイルティ)」に対する日本語訳です。
「Frailty」を訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などになりますが、介入による可逆性を示すために、あえてカタカナのフレイルという表現が使われています。
先行研究では、次の報告があります。
フレイルは認知症リスクを高める@イタリア
フレイル予防にはビタミンDサプリメントが有用:系統的レビュー
高齢者では、ビタミンDの不足や欠乏が高率に認められ、フレイルやプレフレイルのリスクとなります。
このフレイルのリスク状態を改善するには、食事摂取基準に示されたビタミンD (800 IU/day)よりも多くの量を摂取する必要があります。
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HMB(エイチエムビー)+たんぱく質により退院後の死亡率が半減@低栄養の高齢者
HMB+たんぱく質の栄養補助は費用対効果が高い
HMBの除脂肪体重/筋肉量増加作用
人生100年時代に必要なフレイル対策
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ビタミンMが認知症と脳卒中を防ぐ!―日本人が知らない健康長寿のための葉酸の効果
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