エキナセアの母乳への移行を調べたヒト臨床研究がオーストラリアのグループから発表されていました。
(Pl Med 74;921:2008 SL59)
エキナセアは、風邪の初期に摂ることで症状を軽減する働きがあり、安全性も高いことから、広く利用されているハーブサプリメントの一つです。
これまでの研究では、エキナセアの経口摂取後に、エキナセア由来成分が血中に見出されることが知られています。
しかし、授乳中における意義は十分に検討されていませんでした。
ナチュロパシー(自然療法)の視点では、乳児に対して母乳を介したハーブの投与方法が知られています。
母体によるスクリーニングを経ることで、安全性の高い成分を投与するという概念です。
一方、アロパシー(治療医学/対症療法)の視点では、母親の摂取した薬剤が、母乳を介して乳児に移行することに関して、有害事象の可能性についての議論が行われます。
さて、今回の研究では、35歳のボランティアを対象に、エキナセアの錠剤を摂取させ、母乳中の濃度が測定されました。
その結果、経口摂取後、1時間から4時間の間にエキナセア由来成分が見出されたということです。
母乳における濃度は、これまでに報告された血中濃度と類似したものになっています。
以上のデータから、エキナセアの母乳中への移行が確認されたことになります。
エキナセアは安全性の高いハーブであり、これまでの症例シリーズでは、妊娠中の摂取でも特に問題はなかったという報告もあります。
一般的には、体質による個人差もありますので、妊娠中や授乳中の摂取は、慎重であるべきと考えられます。
一方、これまでのデータに基づくと、風邪の初期に短期間に利用するのであれば、妊娠中や授乳中でも比較的許容性は高いといえるでしょう。
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