今月の肥満研究の専門誌に、肥満者におけるココアの血管機能改善作用を示したヒト臨床研究が、オーストラリアのグループから報告されていました。
(Int J Obes (Lond). 2008 Aug;32(8):1289-96.)
これまでの研究によって、ココア由来のフラボノイド類が血管内皮機能を改善することが報告されてきました。
今回の研究では、肥満者49名(男性18名、女性31名)を対象に、高フラボノイド(902mg)投与群、高フラボノイド+運動実施群、低フラボノイド(36mg)投与群、低フラボノイド+運動実施群の4群について、比較検討されています。
12週間の投与前後にて、上腕動脈の血流依存性血管拡張能(FMD)、血圧、インスリン感受性といった指標が比較された結果、高フラボノイド投与群では、低フラボノイド投与群に比べて、FMDの増加、拡張期血圧の低下、インスリン抵抗性の改善が認められています。
運動併用群では、脂肪酸化の増加と体脂肪の減少が示されました。
なお、フラボノイドによる働きは、運動とは独立した作用として認められており、併用群における促進作用は示されていません。
以上のデータから、肥満者において、ココア由来のフラボノイドによる血管内皮機能の改善作用が期待されます。
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