今月の農芸化学の専門ジャーナル(電子版)に,ブルーベリーの摂取が高齢者における認知機能を改善したという臨床研究が,米国のグループから報告されていました。
(
J Agric Food Chem. 2010 Jan 4)
ブルーベリーにはアントシアニン類などのファイトケミカルが豊富に存在し,抗酸化作用や抗炎症作用を介した機能性が考えられます。
アントシアニンは,中枢神経系における神経機能の維持に関与することが示唆されています。
そこで,今回の研究では,ブルーベリージュースによる認知機能への働きが検証されました。
具体的には,高齢者9名(平均年齢76.2歳)を対象に,1日あたり500mlのブルーベリージュースを12週間投与し,認知機能に関連する検査が行われました。
その結果,記憶能に関する有意な改善が認められたということです。
(paired associate learning; p= 0.009,word list recall; p = 0.04)
また,うつ状態の軽減傾向(p = 0.08)や,血糖値の低下傾向(p = 0.10)も示されています。
さらに,同一のプロトコールによる偽薬対照群との比較検証も行われました。
以上のデータから,ブルーベリー果汁による認知機能改善作用が示唆されます。
ブルーベリーというと目の健康維持という印象がありますが,基礎研究では強力な抗酸化作用と抗炎症作用を介した中枢神経系に対する作用も示されており,今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。
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