今月の細胞代謝学の専門ジャーナルに,分岐鎖アミノ酸(BCAA)によるアンチエイジング(抗加齢)作用を示した基礎研究が,イタリアのグループ(Pavia University)から報告されていました。
(
Cell Metab. 2010 Oct 6;12(4):362-72.)
近年の研究では,ミトコンドリアにおける生合成の増大と,真核生物の生存延長との関連が示唆されています。
分岐鎖アミノ酸(BCAA;バリン,ロイシン,イソロイシン)は,酵母において寿命を延長することが示されています。
ただし,哺乳類におけるミトコンドリア生合成とBCAAの役割,寿命との関係は明らかになっていません。
そこで,今回の研究では,マウスの寿命に対するBCAAの働きが検証されました。
BCAA投与の結果,心筋および筋肉細胞において,ミトコンドリア生合成の亢進や,(寿命に関係する) サーチュイン1(sirtuin 1)遺伝子発現の増加が認められたということです。
(この変化は,脂肪細胞や肝細胞では見出されていません。)
また,身体活動能力の亢進も示されました。
さらに,活性酸素障害に対する防御システムに関与する遺伝子の発現亢進,活性酸素産生の抑制も見出されています。
以上のデータから,BCAA投与によって,ミトコンドリア生合成の調節を介したアンチエイジング作用が示唆されます。
今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。
なお,機能性食品・サプリメントの研究では,長寿関連遺伝子であるサーチュインファミリーの発現亢進を介したアンチエイジング作用を有する成分の探索が進められています。
今回は,
BCAAですが,一般には,赤ワインなどに含まれるレスベラトロールがよく知られています。
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