サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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エキナセアによるにきびコントロール [2010年09月30日(木)]
今月の生薬学の専門ジャーナル(電子版)に,エキナセアによるにきび対策の効果を調べた研究が,カナダのグループから報告されていました。
(Phytother Res. 2010 Sep 9)


にきび(尋常性ざ瘡)は, アクネ菌(Propionibacterium acnes)による感染が原因で生じる慢性炎症の病態です。


ハーブのエキナセア(Echinacea purpurea)は,抗ウイルス作用,抗菌作用,抗炎症作用が知られています。


(エキナセアは,風邪の初期に摂取することで罹病期間の短縮や症状軽減といった効果があります。また,予防を目的として冬期や風邪の流行時期に利用されます。)



今回の研究では,エキナセアによるにきびコントロールの効果が検証されました。


具体的には,ヒト培養細胞系を用いて,炎症惹起サイトカイン類(IL-6,IL-8)の産生が測定されました。


アクネ菌は,これらのサイトカイン類を誘導しましたが,エキナセアはこの誘導を抑制し,正常域に戻す作用が見出されています。



このデータから,論文著者らは,エキナセアによる抗菌作用と抗炎症作用によって,アクネ菌によるにきびの予防や改善の効果が示唆されると考察しています。


今後,臨床的意義の検証が期待されます。



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マルチビタミン摂取と心筋梗塞リスク低下の相関 [2010年09月29日(水)]
今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,マルチビタミンサプリメントの利用と,心筋梗塞の罹患率との相関について調べた調査研究が,スウェーデン(Karolinska Institutet)のグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2010 Sep 22)



一般に,マルチビタミンサプリメントは,推奨量(RDA)を補うためのベーシックなサプリメントです。


潜在的な栄養素の不足を予防し,慢性疾患や生活習慣病のリスクを減らすと考えられますが,効果の大きさが顕著でなく,働きが緩徐であるため,RCTでの有意差を検出することは困難と考えられます。

(緩徐な作用が個人差に埋もれてしまい,検出力不測で偽陰性になることが推測されます。)



さて,今回の研究では,マルチビタミンサプリメントの利用と,心筋梗塞罹患率との関連について,調査が行われました。


具体的には,スウェーデンにおいて49-83歳の女性(心血管疾患(CVD)の既往を有していない31,671 名と, CVDの既往歴のある2262名)を対象に,1997年の時点でのマルチビタミンサプリメントの利用状況が調査され,その後,平均10.2年間のフォローアップが行われました。



マルチビタミンサプリメントの摂取内容は,以下のとおりで,RDAに近いものでした。

vitamin A (0.9 mg), vitamin C (60 mg), vitamin D (5 μg), vitamin E (9 mg), チアミン(1.2 mg), リボフラビン(1.4 mg), vitamin B6 (1.8 mg), vitamin B12 (3 μg), 葉酸(400 μg).



平均10.2年間のフォローアップの期間中,

CVD既往歴のない群では932例,

CVD既往歴のある群では269例の

心筋梗塞が認められました。



CVD既往歴のない群では,
サプリメント非利用群に比べて,マルチビタミン単独利用群では,27%のリスク低下が見出されました(HR 0.73, 95% CI: 0.57, 0.93)。


また,マルチビタミンと他のサプリメントを併用している群では,30%のリスク低下(0.70, 95% CI: 0.57, 0.87)

マルチビタミン以外のサプリメント利用群では,7%のリスク低下(0.93, 95% CI: 0.81, 1.08)
という結果が得られています。



さらに,マルチビタミンを5年以上にわたって利用している群では,
41%のリスク低下が示されました。



一方,CVD既往歴を有する群では,心筋梗塞の発症と,マルチビタミンやその他のサプリメントとの相関が見出されていません。



以上のデータから,マルチビタミンサプリメントの長期にわたる利用は,心血管疾患の既往歴のない女性において,心筋梗塞の発症と負の相関関係にあることが示唆されます。



今後,一次予防効果の有無など,因果関係の検証が期待されます。



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減量とシーフードの抗炎症作用 [2010年09月28日(火)]
今月の臨床栄養学の専門ジャーナルに,若年肥満者における減量と魚類摂取による炎症関連指標の変化を調べた臨床研究が,アイスランドのグループ(University of Iceland)から報告されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2010 Sep;64(9):987-93.)



肥満の病態には慢性炎症が存在しており,減量によって改善します。


また,機能性食品では,魚類に含まれるEPADHAといったオメガ3系脂肪酸が抗炎症作用を有しています。




そこで,今回の研究では,摂取エネルギー制限時における減量と魚類の摂取による炎症への影響が検証されました。



具体的には,過体重あるいは肥満の被験者324名(年齢20-40歳,BMI 27.5-32.5)を対象に,4群に無作為に分けて,

(1)鮭:(3 x 150 g/週, 2.1 g LC n-3 PUFA/日),

(2)鱈:(3 x 150 g/週, 0.3 g LC n-3 PUFA/日),

(3)魚油カプセル:(1.3 g LC n-3 PUFA/日),

(4)対照群:(sunflower oil capsules, no seafood)

の4種類の摂取エネルギー制限食(推定必要量の30%制限食)を8週間投与し,関連指標が測定されました。



介入試験の結果,被験者は,平均5.2±3.2kg(P<0.001)の減量を示しました。


全被験者の平均では,測定したすべての抗炎症マーカー(hs-CRP,IL-6,glutathione reductase,PGEF2alpha)にて有意な低下(改善)が認められています。



群間の比較では,鮭摂取群がもっとも顕著な効果を示しました。

鮭摂取群:(hs-CRP;-32.0%,IL-6;-18.4%,PGEF2alpha=-18.5%; all P<0.05)

鱈摂取群:(hs-CRP;-21.5%,IL-6;-10.8%,P<0.05)

残りの2群では,SDが大きく,有意差は認められていません。



以上のデータから,摂取エネルギー制限による減量では,炎症も改善し,魚類やオメガ3系脂肪酸の併用ではさらに有意な抗炎症効果が示唆されます。





オメガ3系脂肪酸の摂取量をみると,今回の研究では,鮭投与群が最も多い量になっています。

そのため,オメガ3系脂肪酸による抗炎症作用が顕著に現れたと考えられます。

また,鮭にはアスタキサンチンが含まれることから,その抗炎症作用や抗酸化作用の関与も想定されます。



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大豆による乳がんリスク低減 [2010年09月27日(月)]
今月の臨床栄養学の専門ジャーナルに,大豆摂取による乳がんリスク低減効果を示した調査研究が,韓国のグループから報告されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2010 Sep;64(9):924-32.)



大豆製品には,弱い女性ホルモン様作用を示すファイトケミカルの1種,大豆イソフラボン類が含まれており,乳がんの予防に有用であると考えられています。


しかし,乳がんの発生には,さまざまな要因が関与することから,調査研究では必ずしも一致したデータは得られていませんでした。



そこで,今回の研究では,大豆の摂取と,乳がんリスクとの関連について,韓国人の女性を対象に検証されています。



具体的には,乳がん患者358名と,年齢を一致させた,悪性腫瘍の既往歴のない対照群360名の2群を対象に,食事由来の大豆製品の摂取が103項目の食事調査票によって調べられました。


解析の結果,
大豆摂取量は1日あたり76.5 g,
イソフラボン摂取量は1日あたり15.0 mg
でした。



多変量解析の結果,大豆摂取と乳がんリスクとの間に有意な負の相関が見出されたということです。


この相関は用量依存的であり,
4分位の最高摂取群は,最低摂取群に比べて,64%のリスク低下が認められています。
(OR; 0.36 (0.20-0.64))


また,閉経後の女性では,乳がん予防の有意な効果が見いだされました。
(4分位の最高摂取群 vs. 最低摂取群 0.08 (0.03-0.22))



なお,大豆摂取による乳がんリスク低下の相関は,エストロゲン受容体/プロゲステロン受容体の状態との関連は示されていません。


ただし,大豆イソフラボンの推定摂取量は,閉経後におけるER+/PR+腫瘍のみと負の相関が見出されました。



以上のデータから,大豆製品の摂取による乳がん予防効果が示唆されます。




今回のデータは,サプリメントではなく大豆製品による効果を示しています。


毎日大豆製品を摂取できない場合,(十分な量の大豆製品を摂取しなかった日に)サプリメントを摂取するという補完的な利用法が考えられます。


サプリメントでは,グリコシド型とアグリコン型がありますが,食品と同じ成分のグリコシド型を用いた大豆イソフラボンサプリメントが好ましいと思います。



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ビタミンDによる子宮内膜がんの予防 [2010年09月26日(日)]
今月のがん予防研究の専門ジャーナルに,ビタミンD3による子宮内膜がん(子宮体がん)の予防作用を示した基礎研究が,米国のグループから報告されていました。
(Cancer Prev Res (Phila). 2010 Sep 21)




ビタミンDは,抗がん作用や免疫調節作用を有し,その機能性に注目したサプリメント療法として,1日あたり800〜2,000 IUの投与が行われつつあります。


(欠乏症を予防するための推奨量RDAよりも,はるかに多い量が用いられます。)



今回の研究では,肥満によってリスクが高まる子宮内膜がんについて,ビタミンD3の作用が検証されました。


具体的には,マウス(Pten(+/-)および野生型)を4群に分け,

--対照食投与群

--対照食にビタミンD3を25,000 IU/kg体重で投与した群

--脂肪エネルギー比が58%の高脂肪食投与による肥満誘導群

--肥満誘導にビタミンD3を25,000 IU/kg体重で投与した群

として28週間の介入試験が行われています。


解析の結果,ビタミンDの投与によって,高脂肪食負荷時の異型性や悪性部位の抑制が認められたということです。



ビタミンDの投与によって,肥満誘導マウスにおける子宮内膜異常の発生が25%抑制されています(P < 0.001)。


ビタミンD投与群では,子宮内膜における25-hydroxylase, 1α-hydroxylase,vitamin D受容体の発現にも変化が見いだされました。


また,ビタミンDは,肥満マウスの子宮内膜においてみられるosteopontinの増加を抑え,E- cadherin発現を有意に亢進したということです。



以上のデータから,肥満によってリスクが高まる子宮内膜がん(子宮体がん)に対して,ビタミンDの抗腫瘍作用が示唆されます。


今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。


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コーヒー・紅茶の摂取と脳腫瘍(グリオーマ)リスクの低下 [2010年09月25日(土)]
今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,コーヒー・紅茶の摂取と,脳腫瘍リスクとの関連について検証した調査研究が,イギリスとスウェーデンの共同グループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2010 Sep 15)



最近の研究によると,米国での疫学(コホート研究)では,コーヒーと茶の合計摂取量と,脳腫瘍(グリオーマ:神経膠腫)との間に負の相関が示されており,基礎研究ではカフェインの投与による膠芽腫(glioblastoma)増殖抑制も報告されています。



さて,今回の研究では,コーヒーおよび茶の摂取と,脳腫瘍(グリオーマ;神経膠腫とmeningioma;髄膜腫)との関連について,ヨーロッパでのコホート研究による検証が行われました。


(EPIC;European Prospective Investigation into Cancer and Nutritionというがんと栄養との関連を調べる研究の一環です。)



具体的には,EPIC研究として,コーヒーと茶飲料の摂取に関するデータがヨーロッパの9カ国において平均8.5年間収集され,その間に神経膠腫343例,髄膜腫245例が新規に見出されています。



相関が解析された結果,コーヒー,茶,コーヒー+茶のいずれのパターンの消費量と,脳腫瘍との関連は見出されませんでした。


一方,グリオーマ(神経膠腫)については,コーヒー・茶の摂取量が1日あたり100ml以上摂取している群では,100ml未満の摂取群に比べて,リスクが34%低下するというデータが示されています。

(有意差あり;HR: 0.66; 95% CI: 0.44, 0.97; P = 0.03)


この相関は,男性では女性よりも強い傾向が示唆されています。

(男性; HR;0.59; 95% CI: 0.34, 1.01,女性; 0.74; 95% CI: 0.42, 1.31)




以上のデータから,コーヒー・茶の合計摂取量が多いと,脳腫瘍のグリオーマ(神経膠腫)のリスクを低下させることが示唆されます。


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トマトのリコピンによる皮膚老化の予防作用 [2010年09月24日(金)]
今月の皮膚科学の専門ジャーナル(電子版)に,トマト抽出物による皮膚の光障害(photodamage)抑制作用を示した研究が,イギリスのグループ(Newcastle University)から報告されていました。
(Br J Dermatol. 2010 Sep 21.)




トマトには,カロテノイド系ファイトケミカルのリコピンが含まれています。

リコピンには抗酸化作用や抗がん作用があり,疫学研究では,がんの予防効果が示されています。


今回の研究では,紫外線によって皮膚に生じる障害--酸化障害による紅斑やマトリックス変化,ミトコンドリアDNA障害など&#8212;に対して,リコピンの豊富なトマトペーストによる効果が検証されました。


具体的には,健康な女性20名(平均年齢33歳,スキンフォトタイプT/U)を対象に,

--1日あたり55グラムのトマトペースト(リコピン16mg含有)+オリーブオイル投与群

--オリーブオイル単独群

の2群に分けて,12週間のランダム化比較試験が行われています。


紫外線誘導性紅斑感受性,皮膚生検によるMMP-1やプロコラーゲン-1などの解析,ミトコンドリアDNA障害の解析が行われました。



その結果,
紅斑指標の有意な改善が認められたということです。

(投与前;26.5±7.5 mJ/cm(2),対照群;23±6.6 mJ/cm(2),トマト投与群;36.6±14.7 mJ/cm(2),p=0.03)



ただし,MED(最少紅斑量)では,トマトによる作用が示唆されましたが,有意差は示されませんでした。

(投与前;35.1±9.9 mJ/cm(2),対照群;32.6±9.6 mJ/cm(2),トマト投与群;42.2±11.3 mJ/cm(2) ).


また,紫外線照射誘導性MMP-1は,対照群に比べてトマト投与群にて有意な減少が認められています(p=0.04)。


その他,紫外線照射によるミトコンドリアDNA障害(3895bp欠失)についても,トマト投与群における有意な改善(p=0.01)が示されました。




以上のデータから,リコピンを含むトマトペースの摂取は,紫外線による光障害を抑制し,皮膚の健康維持/光老化予防に有用であると考えられます。



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1型糖尿病とビタミンD [2010年09月23日(木)]
1型糖尿病の若年患者において,ビタミンD不足が認められたという調査研究が,スイスのグループ(University Children's Hospital Bern)から報告されていました。
(Swiss Med Wkly. 2010 Sep 3;140)



ビタミンDは,骨の健康維持に重要な働きをする栄養素です。


(骨代謝改善以外にも,近年では,ビタミンDによる免疫賦活作用や抗がん作用,インフルエンザ予防作用なども示されており,注目を集めています。)


1型糖尿病の若年層の患者では,健康な対照群と比べて,骨量が少ないことが知られています。

そのため,将来にわたる骨折のリスクが想定され,適正なビタミンD補給の重要性が考えられます。



さて,今回の研究では,1型糖尿病の小児および若年者129名を対象に,血中25ヒドロキシビタミンD,副甲状腺ホルモン(iPTH),カルシウム,リンといった骨代謝関連マーカーが測定されました。


解析の結果,60.5%にあたる78名が,ビタミンD不足(25OH-D<50 nmol/Lとして定義)であったということです。


また,冬期は,この割合が84.1%に増加しました。


25-OH-Dには季節性の顕著な変動が認められた一方,その変動と血糖コントロールとの間に相関は見出されていません。



以上のデータから,スイスの1型糖尿病の若年患者では,ビタミンD不足のリスクが高く,介入による改善が必要と考えられます。




(本研究とは関係ありませんが,‘ハイジ’の中で,クララは典型的なビタミンD欠乏症の症状を示しています。

クララは,都市部から山間部に移動することで,紫外線+乳製品?の効果により,ビタミンD欠乏が改善し,歩けるようになりました。)



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ビタミンDとカルシウムの体重減少効果 [2010年09月22日(水)]
今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,ビタミンDとカルシウムの摂取が,体重減少に有用であるという研究が,イスラエルのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2010 Sep 1.)



これまでの研究では,カルシウムの摂取やビタミンD値と,体重減少/抗肥満作用との関連が示唆されています。



今回の研究では,乳製品からのカルシウム摂取と血中ビタミンD値について,体重減少との関連が検証されています。


具体的には,被験者322名(平均BMI 31,平均年齢52歳)を対象に,2年間の食事調査を行い,126名については血中ビタミンD値が6ヶ月間,測定されました。
(DIRECT;Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)



まず,試験開始時において,血中25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)値は,BMIの3分位の比較で有意な低下が認められています。

(最高位25.6±8.0, 中間位24.1±8.9, 最低位22.9±6.8 ng/mL ; P for trend = 0.02)


試験開始時のビタミンD値および乳製品カルシウム摂取量は,その後の体重減少との関連は認められませんでした。



一方,年齢・性別・試験開始時のBMI,脂肪摂取量などで補正後の解析では,

6ヶ月間の乳製品カルシウム量が(三分位で)多いほど(3分位の中央値;156.5, 358.0, 582.9 mg/日),

および,

血中25(OH)D値が高いほど(三分位の中央値;14.5, 21.2, 30.2 ng/mL),

2年間の介入による体重減少効果が示されました。


(乳製品カルシウムの3分位における体重の変化;-3.3, -3.5, -5.3 kg ; P = 0.043)

(ビタミンDの3分位における体重の変化; -3.1, -3.8, and -5.6 kg ; P = 0.013)




多変量解析の結果,乳製品カルシウムの摂取量が多いほど,また,血中25(OH)D値が高いほど,体重減少との相関が認められています。

(1SDの増加で4.5kg以上の体重減少)




以上のデータから,カルシウムおよびビタミンDと,体重減少との関連が示唆されます。




(今回の研究は,食事調査ですので,食事由来のカルシウムおよびビタミンDになります。
したがって,カルシウムのサプリメントを摂れば痩せる,という研究ではありません。)



もちろん,カルシウム/マグやビタミンD(マルチビタミン)のサプリメントは,ベーシックサプリメントとして,年齢や性別にかかわらず,摂取が推奨されます。


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日本人肥満者における遺伝子変異 [2010年09月21日(火)]
遺伝学の専門ジャーナル(電子版)に,日本人の肥満者において,既知の肥満関連遺伝子の意義を検証した研究が報告されています。(J Hum Genet. 2010 Aug 12 PMID: 20703240.)


(理研のグループによる研究論文で,私は共同研究者です。)



今回の研究では,日本人1,228名を対象に,6遺伝子・8個のSNPsについて,肥満との関連が検証されました。


解析の結果,FTO遺伝子の2個のSNPsは,BMI,皮下脂肪,内臓脂肪とそれぞれ有意に相関が認められています。


一方,NRXN3,TFAP2B,MSRA,LYPLAL1,MC4Rについては,有意な相関は見出されていません。

(これらの遺伝子変異は,白人を対象にした研究では,ウエストヒップ比との相関が知られています。)



日本人に特有の遺伝子変異について,疾病感受性の知見が集積されれば,個別化医療への応用が期待されます。


また,遺伝子多型だけではなく,機能性食品素材の介入によるエピジェネティクスでの変化に関する研究の進展も注目されます。



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加齢黄斑変性症に対するサプリメントの投与 [2010年09月20日(月)]
目に対するサプリメント研究のデータをまとめていて,ミトコンドリアに作用するサプリメントによる早期の加齢黄斑変性症改善作用を示した臨床試験が,(少し前のデータですが)眼科の専門ジャーナルに報告されていました。
(Ophthalmologica. 2005;219:154-66.)


加齢性黄斑変性症(AMD)は,高齢者における失明・視力障害の主な原因です。


機能性食品成分では,ルテイン/ゼアキサンチンといったカロテノイドの摂取による予防効果が知られています。

(AMDの予防・リスク低減に対して,ルテインサプリメントの推奨は広く受け入れられています。)



さて,今回の研究では,加齢性黄斑変性症(AMD)の早期の病態に対して,ミトコンドリアに作用する成分を含む複合サプリメントが投与され,働きが検証されました。
(二重盲検ランダム化偽薬対照試験。)


具体的には,早期AMD患者160名を対象に,
サプリメント(アセチル-L-カルニチン;100mg,オメガ3系脂肪酸(EPA 247.5 mg + DHA 165 mg),コエンザイムQ10;10mg)が
12ヶ月間投与され,前後で,視力関連指標が測定されています。


その結果,主アウトカムの視野欠損(VFMD)も含めて4種類の指標すべてに関して,有意な改善が認められたということです。


また,視野欠損が有意に増悪したのは,サプリメント群では48例中1例であったのに対して,偽薬群では53例中9例でした。



さらに,(特に欧米人で見られる加齢性変化の所見の)ドルーゼン(drusen;眼底の小円形隆起病巣)について,偽薬投与群に比べて,サプリメント投与群において有意な減少(改善)が見出されています。



以上のデータから,ミトコンドリアにおいて,脂質代謝やエネルギー代謝に関与する機能性成分を投与することで,早期の加齢黄斑変性症に対する改善効果が示唆されます。


今後,ルテインとの併用など,さらに検証が期待される分野です。


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ビタミンB群による脳萎縮進行抑制効果 [2010年09月19日(日)]
今月の科学誌に,高用量のビタミンB群投与によって,認知症患者の脳萎縮進行が抑制されたという臨床研究が,イギリスのグループ(University of Oxford)から報告されていました。
(PLoS One. 2010 Sep 8;5(9). pii: e12244.)



高齢者,特に認知症の高齢者では,脳萎縮の進行が認められます。


脳萎縮や認知機能障害,認知症などの危険因子として,ホモシステインが知られています。


血中ホモシステイン値は,ビタミンB群の投与によって低下することから,脳萎縮や認知症の予防や進展抑制に対して,ビタミンB群の効果が期待されます。



今回の研究では,高用量のビタミンB群投与による血中ホモシステイン値の低下によって,認知機能障害を有する患者の脳萎縮進行速度が抑制されるかどうか,検証されました。


具体的には,軽度の認知機能障害を有する70歳以上の患者(646名からスクリーニングされた)271名が対象となり,

--ビタミンB [葉酸(0.8 mg/日),ビタミンB12 (0.5 mg/日),ビタミンB6(20 mg/日)] 投与群

--偽薬投与群

の2群に分けて2年間の介入が行われています。


(二重盲検ランダム化偽薬対照試験)


試験の結果,168名(実薬群85名,偽薬群83名)がMRIによる評価を完了しました。


一年あたりの脳萎縮速度の平均値は,

ビタミンB投与群:0.76%[95% CI, 0.63-0.90]

偽薬投与群:1.08% [0.94-1.22]

であり,有意差が認められています(P&#8202;=&#8202;0.001)。



治療に対する反応は,ホモシステイン値と相関しており,
ビタミンB投与群において,血中ホモシステイン値が13μmol/L以上の被験者では,脳萎縮速度が53%抑制されていました(P&#8202;=&#8202;0.001)。



また,脳萎縮の進行が大きいほど,認知機能テストのスコアが低いという相関も見出されています。


有害事象については,両群間での差は示されていません。




以上のデータから,軽度の認知機能障害/認知症を有する高齢者に対して,高用量のビタミンB群(葉酸+ビタミンB6+ビタミンB12)の投与は,脳萎縮の進行を抑制し,認知機能の低下を抑える働きが示唆されます。




論文著者らは,

70歳以上の16%が軽度の認知機能障害を有しており,
その半数がアルツハイマー病を発症する,

脳萎縮の進行は,軽度の認知機能障害からアルツハイマー病への進行の特徴であり,
今後,同様の介入(ビタミンB群の投与)によって,アルツハイマー病の発症が抑制/遅延するかどうか,検証が求められる,

と考察しています。



(認知症に伴って生じる負担を考えると,ビタミンB群の利用は,費用対効果の非常に大きなサプリメント療法と考えられます。)





高用量のビタミンB群をDHCのサプリメントで摂るとすれば,
ベーシックサプリメントであるマルチビタミンに,
ビタミンBミックス葉酸を加えることができます。



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カルチャーセンター出講 [2010年09月18日(土)]
今日,朝日カルチャーセンター新宿教室に出講してきました。


「サプリメントの正しい選び方 − 健康食品Q&A」

というタイトルです。


これまでは,講演時間のほとんどがプレゼンで,最後に少しのQ&Aという形式でしたが,今回は,新しい試みとして,

「個別のサプリメント・健康食品に関する質問・疑問にお答えします」

という質疑応答を中心に行いました。



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大豆による更年期障害関連症状の改善 [2010年09月17日(金)]
今月の更年期関連疾患研究の専門ジャーナル(電子版)に,大豆の摂取による更年期症状の改善作用を示した臨床研究が,ブラジルのグループ(State University of Campinas)から報告されていました。
(Maturitas. 2010 Sep 10.)


大豆には,女性ホルモン様作用を有するファイトケミカルのイソフラボン類が存在します。


大豆および大豆イソフラボンは,更年期障害や婦人科系疾患の予防/リスク低減を目的としたサプリメントの成分に利用されています。



今回の研究では,更年期障害の症状改善に対して,低用量のホルモン補充療法の代替療法として,大豆投与の有用性が検証されています。


具体的には,(更年期症状を有する以外は)健康な40〜60歳の女性60名を対象に,大豆投与群,ホルモン補充療法群,あるいは偽薬の3群に分けて16週間の介入試験が行われました。
(二重盲検ランダム化偽薬対照試験)


大豆投与群:イソフラボン90mg含有

ホルモン補充療法群:エストラジオール1mg+酢酸ノルエチステロン0.5mg


ITT解析の結果,各群間での有意差は見出されませんでした。


MRS(更年期測定基準Menopause Rating Scale)による心理学的・身体的・生殖器関連症状は,各群で改善が示されています。

(ただし,偽薬群では生殖器関連症状に有意な変化は認めてられていません。)


各群の比較によると,
身体症状(ほてりと筋痛)は,
ホルモン補充療法群では-45.6%と有意に改善,
大豆投与群でも-49.8%と,有意に改善が認められました。



また,泌尿器・生殖器症状(膣部の乾燥感)は,
ホルモン補充療法群では-38.6%と有意に改善,
大豆投与群でも-31.2%と,有意に改善が認められました。


一方,MRSスコア全般では,各群間での有意差は示されていません。




以上のデータから,更年期障害に対して,大豆投与は,ホルモン補充療法に準じる効果が示唆されることから,代替のアプローチとしての有用性が示唆されます。



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マグネシウム摂取と糖代謝改善の関係 [2010年09月16日(木)]
糖尿病治療の専門ジャーナル(電子版)に,マグネシウム摂取と,糖尿病リスク低減との関連を示した調査研究が,米国のグループ(University of North Carolina at Chapel Hill)から報告されていました。
(Diabetes Care. 2010 Aug 31.)



糖尿病の病態には,慢性炎症やインスリン抵抗性が関与します。



必須ミネラルのひとつであるマグネシウムは,糖代謝における補因子のひとつであることから,今回の研究では,マグネシウムの長期間の摂取状況と,糖尿病のリスクとの関連が調べられました。



具体的には,(調査開始時点では糖尿病を有していない)18歳から30歳までの米国人4,497名を対象に,マグネシウム摂取量を調査し,炎症マーカー(hs-CRP,IL-6など)や糖代謝との関連について,前向き研究が行われています。



20年間のフォローアップの結果,330名が糖尿病を発症しました。


交絡因子で補正後,マグネシウムの摂取と,糖尿病罹患率との間には負の相関が見出されています。


マグネシウム摂取量の5分位のうち,最高位の群(中央値201.5mg/1,000kcal)では,最も少ない群(中央値99.9mg/1,000kcal)に比べて,糖尿病罹患リスクが47%低かったということです。(95%CI:0.32-0.86,P(trend)<0.01)


(マグネシウムの摂取量は,食事由来とサプリメント由来の合計です。)


また,炎症に関連した指標のhs-CRP, IL-6, フィブリノゲン,インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRについても,マグネシウムの摂取量と負の相関が示されています。



以上のデータから,マグネシウムによる,抗炎症作用および糖代謝改善作用を介した糖尿病罹患リスク低減作用が示唆されます。



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マグネシウムによる血管機能改善作用 [2010年09月15日(水)]
マグネシウム研究の専門ジャーナル(電子版)に,糖尿病患者において,マグネシウムサプリメントの投与による血管機能改善作用を示した臨床研究が,イタリアのグループ(University of Palermo)から報告されていました。
(Magnes Res. 2010 Aug 24)



必須ミネラルであるマグネシウムは,血管緊張・アセチルコリン依存性内皮細胞弛緩関連因子として作用し,血管の機能維持に重要な働きを有しています。



今回の研究では,マグネシウムサプリメントの経口投与によって,高齢の糖尿病・高血圧患者において,血管内皮機能が影響を受けるかどうか,検証されています。


具体的には,糖尿病患者60名(平均年齢71.1歳,男性35名,女性25名)を対象に,1日あたり368mgのマグネシウム(ピドロ酸マグネシウムとして4.5グラム)あるいは偽薬のいずれかが1ヶ月間投与(各群n=30)されました。


(血管内皮機能は,上腕動脈のFMDなどにて評価。)


解析の結果,マグネシウムサプリメント投与群では,

マグネシウム値の有意な増加(0.42±0.05 mmol/L to 0.49±0.06 mmol/L; p < 0.05.),

FMD値の有意な改善(from 3.3±3.6% to 8.4±3.9%; p < 0.05)

が認められたということです。


(偽薬投与群では,有意な変化は示されていません。)



以上のデータから,マグネシウムサプリメントによる高齢糖尿病患者での血管機能改善作用が示唆されます。




マグネシウムは,単独でのサプリメントはあまり一般的ではなく,DHCカルシウム/マグマルチミネラルといったベーシックサプリメントに含まれています。


(なお,糖尿病で治療中の場合,自己判断でサプリメントを摂るのではなく,主治医に相談することが大切です。)



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ホメオパシーのメタ分析 [2010年09月14日(火)]
昨晩出席した学会の理事会で,ホメオパシーが話題になり,現時点までのエビデンスについて議論されました。


その場で少し発言した関係で,1月にスクリプス研究所の統合医療センターで行われたJonasのプレゼンファイルをみかえしていました。


(Jonasは,NIHのNCCAMの前身のOAMの責任者であった医師/研究者です。)



ホメオパシーは,初診時の問診に1-2時間かける,個別化医療(テーラーメイド医療)なので,臨床研究データについて,適切なレビューは容易ではありません。


現時点までで,最も優れたレビュー/メタ分析は,NIHのJonas,ドイツのMelchartらが行った報告で,結果は下記のようになっています。
(論文はLancet。)







--89 studies entered into the main meta-analysis was 2.45 (95% CI 2.05, 2.93) in favour of homeopathy.


--The odds ratio for the 26 good-quality studies was 1.66 (1.33, 2.08), and that corrected for publication bias was 1.78 (1.03, 3.10).



このメタ分析を見れば,(適切に施術された)ホメオパシーには一定の効果が期待できることが示唆されます。



もちろん,作用機序には不明な点が多いですので,
方法論も含めたエビデンスの構築が求められる,
という結論にならざるを得ませんが。




サプリメント・機能性食品素材の検証の場合,個人差を考慮した新規バイオマーカーを用いたRCTで検証,という議論になります。


明らかに生物学的成分/製剤による介入ですので,効果判定の時点で,個人差や検出力不足が問題になることがあるにせよ,RCT-メタ分析,という手順にはコンセンサスがあると思います。


一方,エネルギー療法となると,アウトカムで効果が示唆されてても,作用機序が不明であり,(万人が納得するような)検証方法も確立されていないため,なかなか議論が困難です。





ところで,今回の発端となった,標準治療を受けずに重大な過誤が生じた,というケース
(つまり,適切な医療を推奨しない,不適切な施術者が存在する,という日本の無法状態を改善するため)の予防策としては,
米国FDAのように,レメディを医薬品として規制する,あるいは,欧州諸国のように,医療資格として施術者を規制する,といった方策が考えられます。



(資格制度はたいへんなので,レメディを食薬区分のうちの医薬品に変更する,というのが対策として想定されます。)


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小児喘息とCAM利用 [2010年09月13日(月)]
呼吸器病学の専門ジャーナルに,小児喘息患者におけるCAM(補完代替医療)の利用状況調査が,カナダのグループから報告されていました。
(Can Respir J. 2010;17:183-7.)



今回の研究では,1999年から2007年の間に,モントリオール小児病院において,小児喘息患者の両親を対象に,(患者の)CAM利用について調査が行われています。


合計2027名の患者(年齢の中央値6.1歳,58%が男児)が解析された結果,
CAMの利用者は13%でした。


利用者の多いCAMとして,

ビタミンサプリメント(24%),

ホメオパシー(18%),

鍼(11%)

があげられています。



多変量解析の結果,CAM利用と有意に相関が認められた因子は,

6歳未満の年齢(OR 1.86; 95% CI 1.20 to 2.96),

アジア系人種(OR 1.89; 95% CI 1.01 to 3.52),

反復発作性喘息(OR 1.88; 95% CI 1.08 to 3.28),

コントロール不良の喘息(OR 1.98; 95% CI 1.80 to 3.31)

です。



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潰瘍性大腸炎におけるプロバイオティクスの抗炎症作用 [2010年09月12日(日)]
今月の消化器病学の専門ジャーナルに,潰瘍性大腸炎におけるプロバイオティクスの抗炎症作用を示した臨床研究が報告されていました。
(World J Gastroenterol. 2010 Sep 7;16(33):4145-51.)



慢性炎症を病態とする炎症性腸疾患として,潰瘍性大腸炎やクローン病が知られています。


機能性食品素材の中には,抗炎症作用を有するものがあり,これらの炎症性腸疾患に対する意義が示唆されています。


今回の研究では,潰瘍性大腸炎におけるプロバイオティクスの抗炎症作用が検証されています。


具体的には,中等度の潰瘍性大腸炎を有する患者30名を対象に,1日あたり2,400mgのスルファサラジン(潰瘍性大腸炎治療薬・サルファ剤)とプロバイオティクスの併用投与群あるいはスルファサラジン単独群の2群に分けて,8週間の介入が行われました。



(プロバイオティクスとして,Lactobacillus delbruekiiLactobacillus fermentumが用いられています。)



大腸における粘膜障害および炎症マーカーが解析された結果,8週間のプロバイオティクス併用投与によって,IL-6の低下,TNF-α発現の抑制,NF-κBp65発現の抑制が見出されたということです(P < 0.05)。



以上のデータから,潰瘍性大腸炎におけるプロバイオティクスの抗炎症作用が示唆されます。



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患者指向のアウトカム [2010年09月11日(土)]
今日,ある学会で,患者指向のアウトカム(指標・転帰)と疾病指向のアウトカムについてのディスカッションがありました。


(セッション自体は,臨床病態栄養代謝に関連する最近の知見についてのレビューなので,アウトカム云々の方法論に関してではありません。)


該当するプレゼンの発表者はイギリスの医学部の教授で,必須脂肪酸の意義についての知見を示しました。


それに対して,フロア側のレバノンの医師から,

「患者指向の転帰に関するデータが不十分であり,エビデンスが構築されていたいために,疾病指向の転帰に基づく治療指針は時期尚早ではないのか」

という質問が投げかけられました。


ところが,発表者は,患者指向の転帰の重要性を指摘した質問の意味がよくわからずに何度か確認していました。


発表者は,治療医学だけを行ってきたために,臨床でも患者を診ずに検査データの推移だけをみてきたのでは?という印象です。


個別化医療・全人的医療といった視点が注目されている現在,(従来の臨床試験で代用マーカーとしての疾病指向のアウトカムが得られやすいのは事実ですが)患者指向のアウトカムの重要性については議論の余地はないと思います。


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