がん研究の専門ジャーナルに,食事因子と発がんの関係を検証した疫学研究が,欧州のグループから報告されていました。
(
Eur J Cancer. 2010 Sep;46(14):2555-62.)
今回の研究は,欧州で行われた前向き研究であるEPIC(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition)のデータを解析したものです。
欧州10カ国(デンマーク,フランス,ドイツ,ギリシャ,イタリア,オランダ,ノルウェイ,スペイン,スウェーデン,英国)の23ヵ所において,35-70歳の519,978 名(女性366,521,男性153,457)が対象となっています。
食事因子の解析の結果,
胃がんリスクは,
血中のビタミンC・一部のカロテノイド・アルファトコフェロールが高いほど,穀物由来の食物繊維の摂取が多いほど,地中海食の遵守が高いほど低く,
赤身の肉類や加工肉の摂取が多いと,リスクが高いことが示されています。
大腸がんは,
食物繊維・魚類・カルシウムの摂取が多いほど,血中ビタミンD値が高いほどリスクが低く,
赤身の肉類や加工肉の摂取・アルコールの摂取が多いほど,BMIが高いほど,リスクが高いことが見いだされました。
喫煙者の間では,野菜や果物の摂取量が多いほど,肺がんのリスクが低下するという相関が認められています。
乳がんリスクは,飽和脂肪酸の摂取およびアルコールの摂取が多いほど高くなっています。
また,閉経後の女性では,乳がんリスクは,BMIと正の相関,身体運動と負の相関が示されました。
(つまり,肥満であるとリスクが高くなり,運動によってリスクが低下するという関係です。)
前立腺がんは,乳たんぱく質・乳製品由来カルシウムの摂取が多いほど,また,血中IGF-T値が高いほどリスクが高くなっています。
これらのデータは,がん予防のための食事ガイドラインなどの設定に有用な情報です。
(ただし,食事因子の介入効果は緩徐であること,個人差・個体差があることなどの考慮が必要です。)
今回示された食事因子とがんの関係は,比較的一般に認知されている内容が多いと思います。(たとえば,食物繊維と大腸がん,肉類と大腸がんや胃がんなど。)
これらの結果が見出されない研究データが場合にネガティブニュースとして大きく報道されることがあります(たとえば,食物繊維と大腸がんは無関係など)が,一般的なコンセンサスは今回のデータに代表されると思います。
------------------------------------------------------------------
【健康食品FAQ】
【DHCの研究開発】
医療機関専用サプリメント【DHC FOR MEDIC】(DHCフォーメディック)
医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
------------------------------------------------------------------