今月のがん研究の専門ジャーナルに、消化管がん患者において、ビタミンDと、がん再発リスクとの関連を検証した研究が、慈恵会医科大学のグループから報告されていました。
(Cancers (Basel). 2020 Feb 4;12(2).)
ビタミンDは、がん細胞増殖を抑制し、抗がん作用を示すことが知られています。
がん細胞は、
生物学的に利用可能な(つまり、ビタミンD結合タンパク質(DBP)に結合していない)25-ヒドロキシビタミンD(25 [OH] D)を、
DBP結合25(OH)Dよりも効率的に取り込むと考えられています。
今回の研究では、
ビタミンD欠乏のバイオマーカーとして
総25(OH)ビタミンDではなく、
この生物学的に利用可能な25(OH)Dを用いて、
ビタミンDの投与による、消化管がん患者の無再発生存率(RFS)への影響が検証されました。
(AMATERASU試験の一環としてのアドホック解析です。)
バイオアベイラブル25(OH)D値は、
血清総25(OH)D、アルブミン、DBP値、およびDBP遺伝子多型(rs7041およびrs4588)のデータから計算されました。
355人の患者のデータが解析の対象となりました。
解析の結果、
生物学的利用能が低い25(OH)D(中央値未満)(n = 177)の患者群では、
5年間のRFSは、
ビタミンD投与群では77%、
偽薬投与群では58%でした。
(HR 0.54; 95 %CI、0.31〜0.95; p = 0.03)
一方、生物学的利用能が高い25(OH)D値の患者群では、
ビタミンD群と偽薬群との間に有意差は検出されませんでした。
(p = 0.046)
以上のデータから、
血中ビタミンDが低値の消化管がん患者において、
ビタミンDの投与によるRFSの改善作用が示唆されます。
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