今月の栄養学の専門ジャーナルに,ベジタリアン食に対するアメリカ栄養士会の見解が掲載されていました。
(J Am Diet Assoc. 2009 Jul;109(7):1266-82.)
今回発表された見解は,基本的には,これまでのものを踏襲し,
「適切に準備されたベジタリアン食およびビーガン食は,あらゆる世代の人に適応でき,健康増進や疾病予防に意義がある」
という内容です。
ベジタリアン食は,乳幼児や小児,青少年,アスリート,妊産婦・授乳婦を含めてすべてのライフステージの人にとって利用可能な食事です。
(あくまで栄養学的に適切に準備されたバランス食であることが条件です。)
今回のアメリカ栄養士会の見解(position)では,近年発表された研究データを検討し,タンパク質,オメガ3系必須脂肪酸,鉄,亜鉛,ヨウ素,カルシウムといった栄養素についてのレビューが行われています。
そして,特定の場合には,サプリメントや栄養強化・添加食品の利用も検討するとされています。
レビューの結果,ベジタリアン食は,非ベジタリアン食に比べて,虚血性心疾患による死亡リスクの低減作用,LDLコレステロールおよび血圧の低下作用,高血圧症や2型糖尿病の罹患率低下作用などが認められたということです。
さらに,ベジタリアン食は,低いBMI,がん罹患率の低下にも相関傾向が認められました。
ベジタリアン食の健康増進・疾病予防作用は,飽和脂肪酸やコレステロールの摂取が少なく,野菜や果物の摂取が多いこと,ファイトケミカル類の摂取による効果と考えられます。
近年,欧米を中心にベジタリアン食を選ぶ人たちが増えているという調査が知られています。
ベジタリアン食を選択する理由で最も多いのは,自らの健康のため,です。
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