生薬複合サプリメントによる運動耐用能の向上作用を示した予備的な臨床研究が,香港大学のグループから報告されていました。
(Chin J Integr Med. 2009 Jun;15(3):177-83. Epub 2009 Jul 2.)
今回の研究では,生薬複合サプリメントとして,ロディオラ・クレヌラタ(Rhodiola crenulata,大花紅景天)とイチョウ葉の組み合わせが用いられています。
具体的には,健康な男性ボランティア70名(18歳から22歳)を対象に,ロディオラ・イチョウ葉複合剤(270mg/capsule×4/日)投与群(n=35)あるいは偽薬投与群(n=35)に無作為に分け,7週間の試験が行われました。
(67名が試験を完了。実薬群34名。偽薬群33名)
投与前後において,運動耐用能および血中ホルモン(テストステロンおよびコルチゾール)が測定された結果,生薬複合剤投与群は,偽薬群に比べて,最大酸素摂取量の有意な増加が認められています。
(最大酸素摂取量が大きいと,持久力に優れているとされ,運動耐用能の向上が示唆されます。)
また,血中コルチゾールは,実薬群では投与前後における有意な変化は認められませんでしたが,偽薬群では有意に上昇していました。
持久的運動における疲労のマーカーであるテストステロン/コルチゾール比は,実薬群では変化を認めませんでしたが,偽薬群では有意な低下が示されています。
以上のデータから,ロディオラとイチョウ葉の複合生薬は,運動耐用能向上作用および抗疲労作用を有すると考えられます。
作用機序についてはさらに検討が必要と思われますが,たとえば,紅景天はアダプトゲン作用が考えられますし,イチョウ葉は循環改善作用を介した働きの関与が推察されます。
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