血液学の専門ジャーナルに,2型糖尿病患者におけるコエンザイムQ10(CoQ10)の値を調べた予備的な臨床研究が報告されていました。
(
Blood Coagul Fibrinolysis. 2009 Jun;20(4):248-51.)
コエンザイムQ10は,体内で合成される抗酸化成分ですが,加齢や慢性疾患によって減少することが知られています。
今回の研究では,2型糖尿病患者を対象に, MDA(malondialdehyde)とコエンザイムQ10値が測定され,血糖コントロールとの関係が検討されています。
MDAは酸化ストレスマーカー(酸化障害の指標)であり,酸化障害によって増加します。
CoQ10は,内在性の抗酸化マーカーです。
具体的には,2型糖尿病患者28名(男性10名,女性18名,平均年齢48歳)および対照(年齢と性を一致させた健常者)10名を対象に,血中および血小板のMDA,血中CoQ10,糖化ヘモグロビン,血中脂質などが測定されました。
その結果,対照の健常者群に比べて,2型糖尿病患者群では,血中および血小板中のMDAが有意に高値である(=酸化ストレスが多い)ことが示されています。
一方,抗酸化マーカーであるCoQ10は,対照群に比べて糖尿病患者群で有意に低い値でした。
また,血中CoQ10値と糖化ヘモグロビンとの間には負の相関が認められています。
(つまり,血糖コントロールが不良であると,CoQ10が低いという相関です。)
以上のデータから,2型糖尿病患者で血糖コントロールが不良の場合,酸化障害が大きく,血中コエンザイムQ10値が低いことが考えられます。
コエンザイムQ10は,抗酸化作用およびATP産生作用を介して,アンチエイジング/健康増進に有用であり,ベーシックなサプリメントとして幅広い世代に推奨できる成分です。
また,慢性疾患における補完療法としても意義のある成分と考えられます。