6/30に発行された糖尿病の学会誌に,CoQ10投与にて病態が改善したミトコンドリア糖尿病の症例報告が掲載されていました。
(糖尿病2009;463-467)
ミトコンドリア糖尿病とは,ミトコンドリア遺伝子に異常を有し,糖尿病を生じる病態です。
ミトコンドリア遺伝子異常は,3243位のA→Gの変異が多く知られています。
正常ミトコンドリアと異常ミトコンドリアの割合よって症状は異なりますが,一般にエネルギー依存の高い臓器(中枢神経,筋肉,膵島,内耳など)に機能低下を生じやすく,糖尿病をきたすこともあります。
さて,今回は,インスリン分泌能の低下や感音性難聴などの臨床症状からミトコンドリア糖尿病が疑われ,遺伝子解析によって,異常(3243A→G)が認められ,診断された女性の例です。
コエンザイムQ10大量療法のミトコンドリア糖尿病への有効性を示すかこの報告に基づき,
食事療法,インスリン療法とともに,コエンザイムQ10の投与が行われています。
60mgから開始し,120mgにて投与中であり,2年間経過した段階では,インスリン分泌能は保持され,HbA1cは8.5%から7.5%に低下(改善),聴力検査でも純音聴力の改善が認められたということです。
実際,これまでにも,コエンザイムQ10投与によるミトコンドリア糖尿病に対する効果を報告した研究が比較的多く知られています。
それらの研究では,コエンザイムQ10は,120mgから150mg,あるいは210mgが投与されています。
なお,論文では,「コエンザイムQ10大量療法」と記載されているのですが,実際の投与量は(CoQ10の機能性を示した近年の研究報告からすると)「大量」という印象ではありません。
アンチエイジング/健康保持目的で90mg前後はベーシックサプリメントとして推奨されます。
また,臨床研究では,300mgから1,000mg以上を投与した報告も見られます。
いずれにせよ,コエンザイムQ10は,ベーシックサプリメントとしてアンチエイジングや疾病予防というだけではなく,補完治療としても広く応用できる機能性成分と考えられます。
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