今月の内分泌学の専門ジャーナルに,高食物繊維食による2型糖尿病への効果を示した研究が,米国のグループ(Case Western Reserve University)から報告されていました。
(
Endocr Pract. 2010 Aug 16:1-27)
一般に,(未精製の)全粒穀類や食物繊維の摂取は,2型糖尿病における血糖コントロールに好ましい影響を示します。
今回の研究では,2型糖尿病を対象にしたランダム化比較試験(RCT)にて,食物繊維の摂取量の影響が検証されています。
具体的には,1999年から2009年までのRCTが検索され,14報が検出されました。
解析の結果,
水溶性あるいは難溶性の食物繊維の添加,
全粒穀類や野菜の豊富な食事,
ビーガン(ヴィーガン)食,
は,糖代謝を改善し,
インスリン感受性を改善する作用が見出されています。
血中脂質,体重,HbA1cに関して,最も改善が見られたのは,低脂肪で植物性食品をベースにした食事であったということです。
今回のレビューデータから,
全粒穀類・野菜・食物繊維の摂取が,糖尿病における糖代謝の改善に有用であると考えられます。
昨日も今日も,‘そんなのは当たり前では?’といわれてしまうような結論ですが,近年はどんな機能性食品でも「エビデンスは?」という方向になってしまいます。
また,ネガティブなデータのほうが,メディアで大きく取り上げられる傾向があります。
(これまでの例ですと,‘食物繊維を摂っても大腸がんが予防できない’‘緑茶をとっても胃がんのリスクは減らない’といった研究データです。)
一昔前に確立された検証方法であるメタ分析や大規模臨床試験の重要性も否定はしませんが,平均値的な思考からはそろそろ卒業して,個人の多様性・個別化医療・新規バイオマーカーといった視点からのエビデンス構築が進むことを期待したいと思います。
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