腫瘍学の専門ジャーナル(電子版)に、臨床試験に登録したがん患者におけるCAM(補完代替医療)の利用状況を調べた研究が、米国のグループ(University of Texas MD Anderson Cancer Center)から報告されていました。
(
Cancer. 2011 Apr 28. doi: 10.1002/cncr.26164)
がん治療において、新しい医薬品や治療法を検証する際、臨床試験が行われます。
臨床試験にはいくつかの段階があり、最初の第1相では、安全性の検証が目的です。
今回の研究では、臨床試験第1相に登録した、進行がん患者におけるCAM(補完代替医療)の利用状況が調べられました。
具体的には、404名の患者を対象に調査が行われ、394名(98%)が調査に同意し、309名(78%)から回答が得られています。
調べられたCAM療法は、
生物学的CAM;ビタミン、サプリメント、ハーブ、
非生物学的CAM;祈り、瞑想、催眠、マッサージ、鍼
です。
回答した309名のうち、1種類以上のCAM療法を利用していた人は162名(52%)でした。
162名の利用状況は、
77%が生物学的なCAMを利用、
71%が非生物学的なCAMを利用、
48%が両方を利用していました。
最もよく利用されていたCAMは、
ビタミン類(70%)、
祈り(57%)、
ハーブ(26%)
でした。
CAM利用は、男性よりも女性のほうが有意に高い利用率を示しています(P < .01)。
一方、人種、年齢、教育、雇用、収入との相関は見出されていません。
CAM利用とQOLについて、有意な相関は認められませんでした。
その他、
CAM利用者の患者は、43%が5年以上利用、
5%のみが副作用を報告、
23%はCAM利用を主治医に報告していない、
といったことが見出されています。
以上のデータから、臨床試験第1相の登録者/参加者の間では、CAM療法が広く利用されていることが示唆されます。
今回の研究を発表したテキサス大学MDアンダーソンがんセンターは、米国を代表するがんセンターのひとつです。
MDアンダーソンは、統合医療の分野でも知られており、ハーバード大学やスローンケタリングがんセンターとともに、統合腫瘍学(がんに対する統合医療的アプローチのための腫瘍学)の学術研究団体を設立しています。
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