今日付けの内科学の専門ジャーナル(電子版)に、セレンサプリメントによる脂質改善作用を示した臨床研究が報告されていました。
(17 May 2011; Vol. 154, No. 10
Annals of Internal Medicine)
セレンは、抗酸化作用を有する
必須ミネラルの1種です。
抗酸化作用や免疫調節作用を介した抗がん作用が示されており、がん予防の臨床研究にも用いられています。
さて、今回の研究では、セレンサプリメントによる脂質代謝への影響が検証されました。
具体的には、ランダム化偽薬対照試験として、イギリスの4施設において、
60-74歳のボランティア501名を対象に、
1日あたり100マイクログラムのセレン(n = 127)
200マイクログラムのセレン(n = 127)
300マイクログラムのセレン(n = 126)
を
セレン高含有酵母として、
あるいは、
酵母ベース偽薬(n = 121)
として、
各群6ヶ月間の投与が行われています。
アウトカムは、コレステロール値など脂質代謝関連指標です。
解析の結果、
まず、血中セレンの平均値は、投与前には88.8 ng/g (SD, 19.2)であったものが、セレン投与によって有意に増加しています。
(当たり前ですが、サプリメントから吸収されて、ということになります。)
(日本の都市伝説では、健康食品は吸収されない云々といったことを耳にします。)
次に、偽薬群に対してセレン投与各群での総コレステロール値の変化は、
セレン100マイクログラム;-0.22 mmol/L (-8.5 mg/dL) (95% CI, -0.42 to -0.03 mmol/L [-16.2 to -1.2 mg/dL]; P = 0.02)、
セレン200マイクログラム;-0.25 mmol/L (-9.7 mg/dL) (CI, -0.44 to -0.07 mmol/L [-17.0 to -2.7 mg/dL]; P = 0.008)、
セレン300マイクログラム;-0.07 mmol/L (-2.7 mg/dL) (CI, -0.26 to 0.12 mmol/L [-10.1 to 4.6 mg/dL]; P = 0.46)
であり、
セレン投与によって有意な低下(改善)が見出されました。
また、非HDLコレステロール値も、同様に、低下(改善)が示されています。
一方、HDLコレステロール値は、
100マイクログラムと200マイクログラム投与群では、有意差は認められませんでしたが、
300マイクログラム投与群では、有意な増加(改善)が示されました(0.06 mmol/L (2.3 mg/dL) (CI, 0.00 to 0.11 mmol/L [0.0 to 4.3 mg/dL]; P = 0.045))。
その他、総コレステロール/HDL比は、セレンの用量依存的な低下(改善)を示しています。
(overall P = 0.01)
以上のデータから、セレンサプリメントは、血中コレステロール代謝に関して、有意な改善作用を示すと考えられます。
なお、このジャーナルは、メインストリームの専門誌(つまり、栄養成分を含むサプリメントの投与で、病気を予防するよりは、病人が増えて薬が売れるほうが儲かるビジネスモデルのジャーナル)です。
そのため、論文の考察として、「セレンサプリメントを脂質異常症に用いることを正当化するものではなく、臨床的意義は不明」と記載しています。
(ネガティブデータのみを喧伝することが多い中で、とりあえずポジティブデータを掲載しただけでも進歩かもしれません。)
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