2型糖尿病患者において、還元型CoQ10(コエンザイムQ10)投与による血糖コントロール改善作用を示した臨床研究が、千葉大学のグループから報告されていました。
(
Biofactors. 2012 Aug 8.)
コエンザイムQ10は、@抗酸化作用、AATP(エネルギー源)産生作用を介して健康保持や疾病予防に働きます。
もともと体内で合成される成分ですが、生活習慣病や加齢によって減少するため、アンチエイジング分野で広く利用されているサプリメントです。
さて、今回の研究では、2型糖尿病の補完療法としての還元型CoQ10(コエンザイムQ10)投与の意義が検証されました。
具体的には、標準治療による薬物療法(糖尿病治療薬の投与)を受けている2型糖尿病患者9名(男性3名、女性6名)を対象に、
1日あたり200mgの還元型CoQ10が12週間投与されました。
血圧、脂質代謝、血糖関連指標、酸化ストレス、炎症関連指標が、投与前後で比較されています。
さらに、健常者5名を対象に、
1日あたり200mgの還元型CoQ10を4週間投与し、
インスリン分泌への作用が測定されています。
解析の結果、
まず、2型糖尿病患者において、
HbA1cの有意な低下(改善)が認められたということです。
(53.0 ± 4.3 to 50.5 ± 3.7 mmol/mol, P = 0.01) (7.1 ± 0.4 to 6.8 ± 0.4%, P = 0.03).
このとき、血圧、脂質代謝、酸化ストレスマーカー、炎症マーカーには変化は示されていません。
また、健常者では、
インスリン分泌指数(insulinogenic index)が有意に増加(改善)、
(0.65 ± 0.29 to 1.23 ± 0.56, P = 0.02)
プロインスリン/インスリン比も有意に改善しました。
(3.4 ± 1.8 to 2.1 ± 0.6, P = 0.03)
以上のデータから、
2型糖尿病患者において、
糖尿病治療薬との併用による還元型CoQ10の投与は、
インスリン分泌能を改善し、血糖コントロールを改善することが示唆されます。
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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