今月の免疫学の専門ジャーナル(電子版)に、運動後の免疫機能に対する魚油サプリメント投与の影響を調べた臨床研究が、英国のグループから報告されていました。
(
Brain Behav Immun. 2012 Aug 10.)
EPAや
DHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。
適度な運動習慣は、健康維持や疾病予防に有用とされる一方、過度な運動負荷は酸化ストレス障害を生じることが知られています。
また、運動負荷は、免疫機能にも影響を与えることが知られています。
今回の研究では、魚油サプリメント投与による単回運動負荷時の免疫関連指標への影響が検証されました。
具体的には、男性16名を対象に、
・1日あたり3グラムの魚油サプリメント
あるいは
・偽薬
のいずれかが6週間投与され、
投与前後で、
自転車エルゴメーターによる70%VO2の1時間負荷が行われました。
(ランダム化二重盲検偽薬対照試験)
採血による検体採取は、
サプリメント投与前、運動前、運動直後、1時間後、3時間後に行われました。
関連指標として、
血中IL-6、EPA、DHA、コルチゾール、
末梢血単核球のIL-2、IL-4、IFN-γ産生、
NK細胞活性
などが測定されています。
解析の結果、
まず、介入後のサプリメント投与群では、
EPA値が有意に増加しています(P=0.0127)。
運動負荷3時間後の時点で、
偽薬群に比べて、魚油投与群において、
末梢単核球でのIL-2の有意な増加(P=0.0067)、
NK細胞活性の有意な増加(P=0.0163)
が認められたということです。
一方、末梢単核球IL-4および血中IL-6、コルチゾールには、魚油サプリメント投与による影響は見られませんでした。
以上のデータから、
魚油サプリメント投与によって、単回運動負荷時の免疫調節作用が示唆されます。
運動時には、活性酸素が発生し、免疫機能にも影響を与えるため、
抗酸化ビタミン(
ビタミンCなど)、
コエンザイムQ10、魚油(
EPA、
DHA)
といった機能性成分の摂取が有用と考えられます。
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