今週の米国医師会ジャーナルに、低炭水化物食と低脂肪食の摂取時における消費エネルギーを比較した臨床研究が米国のグループから報告されていました。
(
JAMA. 2012 Jun 27;307(24):2627-34.)
一般に、肥満や2型糖尿病に対する食事療法では、低脂肪食が推奨されます。
一方、アトキンスやサウスビーチなどに代表されるダイエット法では、低炭水化物食が推奨されてきました。
(80年代から90年代に流行した低炭水化物食は、エネルギー比で40%ほどに抑えるという食事方法です。
これに対して、一般的な食事ガイドラインでは、炭水化物のエネルギー比は55%〜60%が適切とされています。)
医学医療の世界では、炭水化物を制限する食事療法は、ながらく否定されてきました。
特に、2000年代に入って、ニューアトキンスとして、超低炭水化物食が提唱されると、メインストリームの医学医療界からは、不適切なダイエット法の典型のように攻撃されています。
(超低炭水化物食では、炭水化物の摂取をエネルギー比で5%ほどに抑えます。)
しかし、この10年ほどの間に、低炭水化物食および超低炭水化物食(炭水化物制限食)が、従来の低脂肪食よりも優れた減量効果を示す、という臨床研究(ランダム化比較試験)が、数多く報告されています。
エビデンスが出ているにもかかわらず、炭水化物制限食・低炭水化物食・超低炭水化物食に対する医学界からの批判は大きいのですが、低脂肪食で十分な効果が得られない肥満者や糖尿病予備軍の人がたくさんいるという事実があります。
したがって、
基礎疾患のない肥満者や糖尿病予備軍の人に対しては、
数ヶ月から1年ほど、炭水化物制限食を試みる価値は十分にあると考えます。
(エビデンスがあるのに批判されるという状況は、サプリメント・健康食品も同じです。
一定のエビデンスが構築されているのに、積極的に評価していこうとする医療者は、残念ながら少数派でしょう。
現在の医学医療のビジネスモデルが、基本的には、病人が増えることで儲かる仕組みになっているので、仕方ありませんが。)
最近の研究では、低炭水化物食・炭水化物制限食が有効な人、低脂肪食が有効な人の違いを示唆するデータもあります。
要するに、一律に、低脂肪食、あるいは低炭水化物食というのではなく、その人の体質にあった、テイラーメイドの食事療法を行うことがポイントです。
さて、今回の研究では、減量後の消費エネルギーに関して、三大栄養素の割合が異なる3タイプの食事の相違が検証されました。
リバウンド(ダイエット後の体重の再増加)を防ぐには、どのタイプの食事が適切なのか、ということを、安静時代謝エネルギーの点から比較したという研究です。
( 同じエネルギー量(カロリー量)を摂取した場合、
消費エネルギーが大きいほうが、リバウンド予防効果が期待できます。)
具体的には、導入期間(介入食投与)で10%から15%の減量に成功した、若年成人肥満者21名(18歳〜40歳)を対象に、
すべて同じカロリー(エネルギー)量の次の3タイプの食事が、4週間投与されています。
・低脂肪食(エネルギー比で炭水化物60%、脂肪20%、タンパク質20%)=高炭水化物食の投与
・低グリセミック指数(GI)食(炭水化物40%、脂肪40%、タンパク質20%) =中程度のグリセミックロード(グリセミック負荷)食の投与
・超低炭水化物食(炭水化物10%、脂肪60%、タンパク質30%) = 低グリセミックロード食
(ランダム化クロスオーバー法で、各タイプの食事にてそれぞれ4週間の介入。)
(2006年6月から2010年6月の間に、新聞広告などで集められた被験者です。)
主アウトカムは、
安静時消費エネルギー(REE:呼吸や循環などで何もしなくても消費されるエネルギー)、
副アウトカムは、総消費エネルギー(TEE)、ホルモン値、メタボリック症候群関連因子
です。
解析の結果、
減量前値に比べて、安静時エネルギー消費量の減少幅が最も大きかった(=リバウンドが起こりやすい状態であった)のは、
低脂肪食でした。
(平均 [95% CI], –205 [–265 to –144] kcal/日)
次に、
低グリセミック指数(低GI)食投与群(–166 [–227 to –106] kcal/日),
そして、減少幅がもっとも少ない(=リバウンドが起こりにくい状態であった)のは、
超低炭水化物食でした。
(−138 [–198 to –77] kcal/日)
グリセミックロードと全般的に有意な相関が認められています。
総消費エネルギーについても同様の結果でした。
(各群の平均 [95% CI], −423 [–606 to –239] kcal/日、−297 [–479 to –115] kcal/日、 −97 [–281 to 86] kcal/日; overall P = .003; P for trend by glycemic load < .001).
なお、ホルモン値、メタボリック症候群関連因子(レプチン、インスリン感受性、HDLコレステロール、非HDL、TG、PAI-1、CRP)は、
減量維持期間中、各群異なる変化を示していますが、特定の食事療法を支持する結果にはなっていません。
(leptin, P < .001; 24-hour urinary cortisol, P = .005; indexes of peripheral [P = .02] and hepatic [P = .03] insulin sensitivity; high-density lipoprotein [HDL] cholesterol, P < .001; non-HDL cholesterol, P < .001; triglycerides, P < .001; plasminogen activator inhibitor 1, P for trend = .04; and C-reactive protein, P for trend = .05)
以上のデータから、
若年肥満成人において、
同じカロリーを摂取する場合、
10%〜15%の減量後の体重維持・リバウンド予防のために、
エネルギー消費量の減少を抑制するという視点では、
炭水化物の摂取量を減らす食事が好ましいと考えられます。
ただし、炭水化物を極端に減らす食事では、結果的に、脂質とタンパク質が多くなるため、体にいい脂肪と植物性タンパク質を多くするなどの工夫も必要でしょう。
同じ炭水化物でも、消化吸収されやすい単純炭水化物は特に禁物です。
DHCの製品で、低炭水化物食・低GI食・低GL食に相当するのは、
DHCプロティンダイエット
です。
また、低GI食、低GL食として、
発芽玄米、
米こんにゃく、
があります。
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