今月の婦人科内分泌学の専門ジャーナル(電子版)に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)におけるビタミンD+カルシウムの血圧改善および内分泌系指標の改善作用を示した予備的な臨床研究が、米国のグループ(Yale University School of Medicine)から報告されていました。
(
Gynecol Endocrinol. 2012 Jul 11.)
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、肥満、生理不順、不妊症などを認め、インスリン抵抗性を示す病態です。
ビタミンDに関して、インスリン感受性を改善するというデータが示唆されていることが知られており、ビタミンDサプリメントの投与によって、PCOSのインスリン抵抗性や月経不順の改善を示した臨床研究も報告されています。
(PCOSに対するビタミンDの効果)
さて、今回の研究では、PCOSにおけるホルモンおよび代謝関連指標に対するビタミンDとカルシウムの作用が検証されました。
具体的には、肥満でビタミンD欠乏症を有するPCOS患者12名を対象に、
3か月間のサプリメント介入を行い、前後での比較が行われています。
(単群オープンラベル試験)
サプリメントの投与量は、
ビタミンD:1日あたり3,533 IU(最初の5名の被験者)あるいは8,533 IU(その他の被験者)、
および
カルシウムが1日あたり530r
でした。
血圧や糖代謝関連指標、テストステロン、アンドロステンジオンなどが測定されました。
解析の結果、
サプリメント投与前に比べて、3か月間の投与後では、
血中ビタミンD値(25OHD)は有意に増加(p < 0.001)し、
総テストステロン値は有意に低下(p = 0.036)、
アンドロステンジオン値も有意に低下(p = 0.090)したということです。
また、次の被験者において、血圧の改善(低下)も認められています。
・介入前の血圧が120/80 mmHg以上の被験者 (n = 8)
・介入前の血中25OHDが20 ng/ml 以下の被験者(n = 9)
なお、糖代謝やインスリン抵抗性関連指標には有意な変化は示されませんでした(p > 0.05)。
以上のデータから、
肥満とビタミンD欠乏を有するPCOS患者では、
ビタミンDおよびカルシウムサプリメントの投与によって、
内分泌指標および血圧の改善効果が示唆されます。
PCOSには遺伝素因も関与しますので、ビタミンDだけで劇的な効果があるというわけではありませんが、補完療法としてビタミンDの投与には意義があると推察されます。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
ビタミンDは、骨の健康維持や骨粗鬆症予防の必須栄養素として知られています。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
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