今月の神経学の専門ジャーナルに、血中リコピン濃度が高いと脳卒中リスクが低いという研究が、フィンランドのグループから報告されていました。
(
Neurology. 2012 Oct 9;79(15):1540-7)
トマトには、カロテノイド系ファイトケミカルの1種である
リコピン(リコペン)が含まれています。
赤色色素の
リコピンは、抗酸化作用や抗がん作用を有しており、疫学研究では、肺がんや前立腺がん、大腸がんの予防効果が示されています。
これまでの研究では、
野菜や果物の摂取、血中カロテノイド濃度と、
脳卒中リスク低下との関連が示唆されています。
今回の研究では、男性における脳卒中リスクと、血中の主要なカロテノイド類、αトコフェロール値、レチノール値との関連が検証されました。
具体的には、46−65歳のフィンランド人男性1,031名を対象に、
HPLCにて血中のリコピン、αカロテン、βカロテン、αトコフェロール、レチノールの濃度が測定され、
脳卒中リスクとの関連が調べられています。
12.1年(中央値)の追跡期間中、
合計67例の脳卒中が見出され、
そのうち、50例は虚血性脳卒中(脳梗塞)でした。
年齢やBMI、既往歴、喫煙、収縮期血圧などで補正後、
四分位にて、
血中リコピン値が最高群は、
最低群に比べて、
虚血性脳卒中リスクが59%低下、
すべてのタイプの脳卒中リスクが55%低下
していたということです。
(HR = 0.45, 95%CI 0.25-0.95, p = 0.036 for any stroke、HR = 0.41; 95% CI 0.17-0.97, p = 0.042 for ischemic stroke)
なお、αカロテン、βカロテン、αトコフェロール、レチノールの濃度と、脳卒中リスクとの関連は示されませんでした。
以上のデータから、
中高年の男性では、
血中リコピン値が高いと、脳卒中リスクが抑制されるという相関が示唆されます。
血中リコピン値は、リコピンが豊富な食品の摂取量と相関します。
リコピンは、
トマトやトマト製品に豊富に含まれるカロテノイド系ファイトケミカルです。
血中リコピン値は、トマトおよびトマト製品の摂取量の指標となります。
加熱、調理にも安定であり、かつ、脂溶性ですので、生のトマトよりは、調理したトマト(製品)からのほうが効率的に摂取できます。
DHCでは、
リコピン
を製品化しています。
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