栄養学の専門ジャーナルに、肥満女性におけるビタミンD3サプリメント投与による抗肥満作用を示した臨床研究が報告されていました。
(
Nutr J. 2012;11(1):78.)
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
ビタミンD値は、体組成、特に体脂肪量との関連が示唆されており、
ビタミンDの低値と肥満との相関が考えられています。
今回の研究では、
基礎疾患のない過体重および肥満の女性におけるビタミンD3サプリメント投与の効果が検証されました。
具体的には、
被験者77名(年齢 38±8.1歳, BMI 29.8±4.1)を対象に、
・ビタミンD(コレカルシフェロールとして25マイクログラム/日)投与群
・偽薬投与群
の2群について、12週間の介入が行われています。
(二重盲検ランダム化偽薬対照試験)
介入の結果、
まず、血中ビタミンD値は、
偽薬群と比べてビタミンD投与群において有意に増加し、
(38.2±32.7 nmol/L vs. 4.6±14.8 nmol/L; P<0.001)
副甲状腺ホルモンは有意に低下しました。
(-0.26±0.57 pmol/L vs. 0.27±0.56 pmol/L; P<0.001)
また、
ビタミンD3サプリメント投与群は、
偽薬群に比べて、
体脂肪量の有意な減少を示しています。
(-2.7±2.1 kg vs. -0.47±2.1 kg; P<0.001)
なお、体重とウエスト周囲長には両群間で有意差は認められませんでした。
血中ビタミンD値と、体脂肪量との間には、有意な負の相関が見出されています。
(r = -0.319, P = 0.005)
以上のデータから、
健康な(基礎疾患を有していない)過体重・肥満の女性では、
ビタミンD3サプリメント投与による血中ビタミンD値の増加によって、
体脂肪量の減少効果が示唆されます。
今後、肥満・メタボリック症候群におけるビタミンDの補完療法としての臨床的意義の検証が期待されます。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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