サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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魚油によるアンチエイジング効果 [2012年09月30日(日)]
今月の免疫学の専門ジャーナル(電子版)に、魚油サプリメントによる抗酸化作用とテロメア長の維持効果を示した臨床試験が、米国のグループ(Ohio State University College of Medicine)から報告されていました。
(Brain Behav Immun. 2012 Sep 22.)




テロメア長の短縮は、加齢に伴う疾患や生活習慣病、生存期間の短縮などとの相関が考えられています。


テロメア長は、テロメラーゼ(telomerase)という酵素によって延長することが知られています。


また、炎症惹起サイトカイン類や酸化ストレスとも関連します。



先行研究では、

オメガ3系脂肪酸サプリメントの投与によって、

血中の炎症惹起サイトカイン類の低下効果が示されました。




そこで、今回の研究では、オメガ3系脂肪酸投与による白血球のテロメア長、テロメラーゼ、酸化ストレスへの影響が検証されました。



また、オメガ6系・オメガ3の比率が、吸収や代謝における個人差の評価のために測定されています。



具体的には、二重盲検ランダム化比較試験として、

中高年の過体重の健常者106名を対象に、

・1日あたり2.5グラムのオメガ3系脂肪酸投与群、

・1日あたり1.25グラムのオメガ3系脂肪酸投与群、

・偽薬投与群

の3群について、4か月間の投与介入が行われました。



(食事は、標準的なアメリカン食。いわゆるSADダイエット。)




解析の結果、

オメガ3系脂肪酸投与によって、

酸化ストレスマーカーであるF2イソプロスタンの有意な低下(p=0.02)が示されました。

(偽薬群に比べて、平均15%の低下)




テロメア長およびテロメラーゼに関して、群間での有意差は認められませんでしたが、

オメガ6系:オメガ3系の比率では、比率が低くなるにつれて、テロメア長が延長する

(=オメガ3系脂肪酸の摂取によってテロメア長が延長する)という有意な相関(p=0.02)が見出されたということです。



以上のデータから、オメガ3系脂肪酸の投与、あるいは、オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の比率が、細胞の老化に関与することが示唆されます。



今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。





EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸には、抗炎症作用が知られています。

オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。

現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。



EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。



一般に、臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。

また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。

日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。

EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。

一般に、DHAは脳の栄養素、EPAは血管の栄養素といえるでしょう。





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膝関節症に対するCAM利用の状況@米国 [2012年09月29日(土)]
今月の女性の健康に関する専門ジャーナル(電子版)に、変形性膝関節症(膝OA)に対するCAM(補完代替医療)の利用状況調査を調べた研究が、米国のグループ(Virginia Commonwealth University)から報告されていました。
(J Womens Health (Larchmt). 2012 Sep 4.)




高齢化に伴って、ロコモティブ症候群による健康リスクが知られるようになりました。


これは、将来、要介護の状態になるリスクですので、

骨粗鬆症や変形性関節症の予防や改善が重要です。




サプリメント・機能性食品でも、変形性関節症に対する成分が注目されています。



日本の経済産業省の調査では、

グルコサミンの認知度は71.6%、

利用している機能性食品の訴求で「関節系(グルコサミン、コンドロイチンなど)」は9.7%

となっています。



具体的には、グルコサミン(塩酸塩、硫酸塩)、コンドロイチン、MSM、5-ロキシンといった機能性成分です。




さて、今回の研究では、米国において、変形性膝関節症(膝OA)と診断された患者におけるCAM(補完代替医療)の利用状況調査が行われました。


具体的には、放射線学的検査により膝OAと診断された男女2,679名を対象に、CAM療法(NIH分類の5カテゴリー)および標準治療(医薬品とOTC)の利用が調べられています。

(Osteoarthritis Initiativeという研究の被験者です。)




解析の結果、

CAM利用は、

単独(23.9%女性, 21.9%男性)の利用、あるいは標準治療との併用(27.3%女性, 19.0%男性)

とのいずれのケースも一般的に行われていることが明らかとなりました。




CAM別では、まず、サプリメントについて、

グルコサミン利用(27.2%女性、28.2%男性)、

コンドロイチン硫酸塩の利用(24.8%女性、25.7%男性)

であり、性差は認められていません。





次に、心身相関医療では、

男性に比べて、女性のほうで、利用率が高値でした。

(女性14.1% vs. 男性5.7%)



また、CAM療法の併用も女性のほうで高値となっています。

(18.0% vs. 9.9%)





なお、女性では、高いQOL、身体機能は、いずれの療法とも負の相関を示しました。

(つまり、健康的な生活を送っている場合には、膝OA罹患率が低いと考えられ、結果的に、OAに対する療法を利用していることが少なくなると推定されます。)




一方、疼痛スコアが高い場合には、標準治療での医薬品の利用率が高いことが見出されました。



その他、大腿骨頭置換術施術の既往は、女性において、標準治療での医薬品の利用率と相関していました。
(男性では相関なし。)





以上のデータから、
女性では、男性に比べて、膝OAに対するCAMあるいは標準治療の利用が高いことが示唆されます。





グルコサミンは、変形性膝関節症などの関節疾患に広く利用されているサプリメントです。



作用メカニズムとして、アミノ糖であるグルコサミンが関節軟骨の成分であることから、構成成分を経口摂取することによる直接的な修復機構が想定されていました。



一方、最近の研究では、グルコサミンやコンドロイチンは、情報伝達機構における調節因子であることが示されており、変形性膝関節症に対する改善効果のメカニズムとして、構成成分自体を直接摂取する作用というよりは、シグナル伝達物質を摂取することによる作用が考えられています。



膝OAなどの変形性関節症に対して、
サプリメントでは、グルコサミンやコンドロイチンが最もエビデンスが豊富であり、欧州の学術団体ではグレードAの推奨になっています。



(米国では、GAIT1のネガティブデータが引用されることが多く、混乱していますが。)





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バージンオリーブオイルの心臓病予防作用 [2012年09月28日(金)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、オリーブオイルによる心臓病予防効果を示した疫学研究が、スペインのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2012 Sep 25:1-8.)




オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸を主に含み、酸化ストレス抑制、インスリン抵抗性抑制、抗炎症作用などを有しています。


このため、オリーブオイルの利用は、心臓病など動脈硬化性疾患の抑制作用が知られています。


また、オリーブ(オリーブ・リーフ(葉)やオリーブ・オイル)には、オレユロペンやヒドロキシチロソールなどのファイトケミカルが豊富に含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用を介した生活習慣病の予防や改善効果が示唆されています。


例えば、エクストラバージンオリーブオイルには、オリーブポリフェノール(ファイトケミカル)が豊富に含まれるので、精製されたオリーブオイルよりも優れた機能性を示すことが臨床研究で示されています。


オリーブオイルは、地中海食で広く用いられており、動脈硬化性疾患のリスク低下を介した健康長寿に有用です。



さて、
今回の研究では、オリーブオイルの摂取と心臓病(心血管疾患)との関連が調べられています。

(EPICという研究の一環で、スペインでのコホートです。)



具体的には、1992年から96年の間に登録された40,142名(男性は38%)を対象に、
2004年までの追跡が行われました。



心臓病イベントと、オリーブオイルの摂取(エネルギー摂取量を調整し4分位で検討)との関連が解析され、交絡因子で補正が行われています。



10.4年間の追跡調査の結果、

587例(79%は男性)の心臓病イベントが見出されました。


オリーブオイルの摂取は、心臓病リスクと有意な負の相関が認められたということです。



2,000kcalあたり10グラム/日の摂取により13%のリスク低下、

4分位の最高群は、最低群に比べて、22%のリスク低下、

という相関でした。




オリーブオイルの摂取による心臓病リスク低下という相関は、

非喫煙者(11%のリスク低下、P = 0.048)、

非飲酒者あるいは飲酒量が少ない群(25%のリスク低下、P < 0.001)

でより顕著でした。



また、バージンオリーブオイルの利用者で、14%のリスク低下(P = 0.072)
でした。



以上のデータから、
オリーブオイルの摂取による心臓病リスクの低下作用が示唆されます。





オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸というだけではなく、最近の研究では、エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイルに含まれるファイトケミカル・ポリフェノールによる抗酸化作用の有効性も示されています。


オリーブオイルを多用する地中海食は、心臓病などの生活習慣病の予防効果を示し、抗炎症作用を有する抗炎症ダイエットであることがわかっています。






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クランベリー果汁による尿路感染症再発予防効果 [2012年09月27日(木)]
今月の感染症治療学の専門ジャーナル(電子版)に、クランベリー果汁による尿路感染症予防効果を示した臨床研究が、札幌医科大学のグループから報告されていました。
(J Infect Chemother. 2012 Sep 8.)




クランベリー(Vaccinium macrocarpon)の果実(果汁)は、有効成分としてアントシアニン類やキナ酸、トリテルペン類、カテキン類、タンニン類、フラボノール類を含み、膀胱や尿道への細菌付着を抑制する作用があります。


尿路感染症の再発予防および治療に対して用いられており、これまでの臨床研究でも有効性が示されてきました。



今回の研究では、クランベリー果汁による尿路感染症の再発予防効果が検証されています。


具体的には、ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、2007年10月から2009年9月の間に、

20歳から79歳の患者を2群に分け、

クランベリー果汁(125mL)あるいは偽薬が、1日1回、就寝前に、24週間投与されています。



主エンドポイントは、尿路感染症の再発です。




解析の結果、

50歳以上の女性の群では、

再発率について、両群間で有意差が見出されたということです。

(log-rank test; p = 0.0425)



偽薬群では63名中31名(49.2 %)が再発したのに対して、

クランベリー投与群では55名中16名(29.1 %)の再発でした。






以上のデータから、

クランベリー果汁の24週間の投与は、中高年の日本人女性において、

尿路感染症の再発リスクを有意に抑制することが示唆されます。







クランベリー果汁は酸味が強いため、そのままでは食用に向かず、一般に甘味料が添加されます。



尿路感染症の再発予防に対して、果汁の代わりにクランベリーのサプリメントも広く利用されています。






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小児がん患者におけるCAM利用状況@オランダ [2012年09月26日(水)]
今月の小児科学の専門ジャーナル(電子版)に、小児がん患者におけるCAM(補完代替医療)の利用状況を調べた研究が、オランダのグループ(St Antonius Hospital)から報告されていました。
(Eur J Pediatr. 2012 Sep 19.)



これまでの様々な研究によって、CAM(補完代替医療)の利用状況が調べられてきました。



今回の研究では、オランダにて、小児がん患者におけるCAM利用状況を調べる目的で、多施設共同研究による調査が行われました。



具体的には、オランダでのアカデミック病院6施設の小児がん部門を受診した小児の両親を対象に、質問票への記入という形式で調べられました。


質問内容は、小児の臨床状態、CAM利用、CAM療法に対するコミュニケーション・態度・研究です。



288名中122名(42.4 %)が、過去12か月間に何らかのCAMを利用していました。


最も多く利用されていたCAM療法は、

・ホメオパシー(18.8 %)

・サプリメント(11.5 %)

です。



女性であること、また、両親のCAM利用という事項が、CAM利用と有意に相関していたということです(p&#8201;<&#8201;0.001)。




一方、小児腫瘍医とCAM利用について相談した両親は、3分の1に過ぎませんでした。


回答者の80%以上が、小児科医からのCAMに関する情報の必要性を感じており、
85.7 %は、CAM研究を支持していました。



また、半数の両親は、今後、CAM療法の臨床試験に興味があると回答しています。




以上のデータから、

オランダでの小児腫瘍病院では、両親の40以上が小児に何らかのCAM療法を与えていること、

ただし、それらの有効性や安全性についてのエビデンスはんだ不十分であり、

両親の多くはCAM研究の推進を支持していること、また、半数はCAMの臨床研究への参加に肯定的であること、

が示唆されます。




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クランベリーによる前立腺がん放射線治療中の尿路感染症リスク低下作用 [2012年09月25日(火)]
腫瘍学の専門ジャーナルに、前立腺がんに対する放射線治療において、クランベリーの投与による尿路感染症リスク低下作用を示した臨床研究が報告されていました。
(Cancer Manag Res. 2012;4:281-6.)




クランベリー(Vaccinium macrocarpon)の果実(果汁)は、有効成分としてアントシアニン類やキナ酸、トリテルペン類、カテキン類、タンニン類、フラボノール類を含み、膀胱や尿道への細菌付着を抑制する作用があります。


尿路感染症の再発予防および治療に対して用いられており、これまでの臨床研究でも有効性が示されてきました。


クランベリー果汁は酸味が強いため、そのままでは食用に向かず、一般に甘味料が添加されます。



尿路感染症の再発予防に対して、果汁の代わりにクランベリーのサプリメントも広く利用されています。




尿路感染症や下部尿路症状は、前立腺がんに対する放射線治療に伴って認められる副作用でもあります。



そこで、今回の研究では、前立腺がんに対する放射線治療中に、クランベリーの投与による感染症リスク低下作用が検証されました。



具体的には、前立腺がんに対する放射線治療を受けた患者370名を対象に、

クランベリーサプリメント投与群(n=184)、

偽薬群(n=186)

の2群について介入が行われています。



6−7週間の放射線治療中、1週間ごとに、尿路系症状および尿培養検査が実施されました。




解析の結果、

クランベリー投与群(n = 184)では、

下部尿路感染症が16件(8.7%)見いだされました。



一方、
偽薬投与群(n = 186)では 45件(24.2%)見いだされています。



下部尿路感染症の罹患率は、偽薬群に比べて、クランベリー投与群において有意に低値でした。




このとき、コンプライアンスは良好であり、クランベリー投与に伴う副作用は見出されていません。




また、夜間尿や頻尿、排尿困難といった症状も、クランベリー投与群において低くなっています。



以上のデータから、

前立腺がんに対する放射線治療を受けた患者において、

クランベリーの投与による尿路感染症リスク低下作用、下部尿路症状低減作用が示唆されます。




クランベリーは、一般に、女性や小児において、繰り返す尿路感染症のリスク低減に効果が確立されています。



今回の研究では、男性の腫瘍に対する放射線治療において、クランベリーの補完療法としての意義が示されたことになります。





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慢性心不全におけるオメガ3系脂肪酸の抗炎症作用:メタ解析 [2012年09月24日(月)]
今月の循環器病学の専門ジャーナルに、慢性心不全におけるオメガ3系脂肪酸サプリメントの抗炎症作用を示した臨床研究(メタ解析)が報告されていました。
(BMC Cardiovasc Disord. 2012 Sep 20;12(1):77)



EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸には、抗炎症作用が知られています。


オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。


現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。



さて、今回の研究では、慢性心不全における抗炎症作用について、魚油サプリメントの効果が検証されています。


具体的には、2011年11月までのデータベースを用いて、
慢性心不全患者を対象に、魚油サプリメントもしくは偽薬を投与したRCTを抽出し、メタ解析が行われました。


アウトカムは、抗炎症マーカーの変化です。



7報が対象となり、

解析の結果、

偽薬投与群に比べて、魚油サプリメント投与群では、

血中TNF-α値(SMD = -0.62, 95% CI -1.08 to -0.16, p = 0.009),

IL-1(SMD = -1.24, 95% CI -1.56 to -0.91, p < 0.001)

IL-6 (SMD = -0.81, 95% CI -1.48 to -0.14, p = 0.02)

はいずれも有意な低下が認められたということです。




ただし、hs-CRP値やsICAM-1では有意な変化は見出されていません。


メタ回帰分析及びサブ解析では、

魚油サプリメントの用量や投与期間が、TNF-αやIL-6の変化に関連していました。



魚油サプリメントの用量が1日あたり1,000mg(1g)以上のとき、

あるいは

投与期間が4か月以上のときに

これらの2つの炎症マーカーの低下効果が見出されています。




以上のデータから、

慢性心不全患者において、

魚油サプリメント(1日あたり1,000mg以上、あるいは4か月以上)の投与は、

抗炎症作用を示すことが示唆されます。





EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。



一般に、臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。

また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。

日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。

EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。

一般に、DHAは脳の栄養素、EPAは血管の栄養素といえるでしょう。




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ウコン抽出物による腸管筋肉弛緩作用 [2012年09月23日(日)]
今月の科学誌に、ウコン抽出物による腸管筋肉弛緩作用を示した基礎研究が、イタリアのグループから報告されていました。
(PLoS One. 2012;7(9):e44650.)



ウコンには有効成分としてクルクミンが存在し、抗炎症作用を示します。


炎症性腸疾患において、ウコン/クルクミンの有用性が示唆されています。


一般に、炎症性疾患では、胃消化管の運動性が障害されています。




そこで、今回の研究では、ウコン抽出物による腸運動性への影響が検証されました。


具体的には、
単離されたマウス腸管を用いて、カルバコールによる収縮に対するウコン抽出物の作用が調べられ、

次に、
急性および慢性大腸炎モデルBalb/cマウスに対して、
ウコン抽出物(200 mg/kg/day)あるいは偽薬が7日間と21日間投与されました。



大腸炎誘導後、ウコンが投与され、
回腸および大腸において、カルバコールとアトロピンに対する反応性が測定されています。




解析の結果、

まず、
回腸および大腸における自発性収縮は、ウコン投与によって減少しました。

カルバコールに対する最大反応の阻害も見出されています。


同様の結果が、ウコン投与マウスでも示されました。



次に、デキストラン硫酸(DSS)投与では大腸の運動性が低下し、
クルクミンは、カルバコールに対する反応および自発性収縮のいずれにおいても回復させる効果を示したということです。





以上のデータから、
ウコン抽出物は、マウスの回腸および大腸において、抗炎症作用の機序とは独立して、
腸管弛緩作用を有することが示唆されます。



今後、ウコン抽出物の鎮痙剤としての臨床的意義の検証が期待されます。




クルクミン/ウコンは、日本では、飲酒時の肝臓保護というイメージですが、海外の臨床試験では、抗炎症作用、抗がん作用、認知症抑制など多彩な作用が示されています。


ウコンには、ファイトケミカルの1種、クルクミンが含まれており、機能性食品素材・サプリメント成分として広く利用されています。


DHCのウコン製品では、高吸収タイプ・即効性のものがあります。

医療機関専用サプリメント【DHC FOR MEDIC】(DHCフォーメディック)でも、高吸収・高用量タイプのクルクミンを扱っています。




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高用量のビタミンCによる減量効果 [2012年09月22日(土)]
今月の肥満研究の専門ジャーナルに、高用量のビタミンC投与による減量効果を示した基礎研究が米国のグループから報告されていました。
(obesity 2012, Sep 21, 225-P)



ビタミンCは、ビタミンEとともに代表的な抗酸化ビタミンであり、ベーシックサプリメントとして広く利用されています。


食事摂取基準によるRDAは1日あたり100mgですが、これは、欠乏症を予防するために設定された量です。


したがって、保健効果、病気の予防効果を期待する場合、サプリメントで1グラム(1,000mg)〜2グラム程度/日の摂取が推奨されています。


また、高用量・メガ用量のビタミンCの利用も知られています。

この場合は、風邪の予防や罹病期間の短縮、がんの予防や補完療法としての目的があります。



さて、今回の研究では、ビタミンCによる体組成およびエネルギーバランスへの影響が検証されました。


具体的には、雄マウスを用いて、

1Lあたり330mgのビタミンC含有水

あるいは

対照水の摂取

の2群について15週間の介入試験が行われました。




なお、ビタミンCの用量は、ヒトに換算すると1日あたり4‐5グラムに相当する量ということです。




解析の結果、

9週目以降においてビタミンC投与群では、

体重および体脂肪量の有意な減少が認められました。




この時、摂食量については有意な変化は見出されていません。



15週間の介入後、対照群に比べて、ビタミンC投与群では、体脂肪量が低くなっていました。



ビタミンC投与群では、対照群に比べて、

10週目以降において、

有意な体重減少効果を認めたということです。




ただし、ビタミンCによる体重・体脂肪減少について、作用メカニズムは明確ではありません。




今後、臨床的意義の検証が期待されます。




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カロテノイド類による膀胱がんリスク低減作用 [2012年09月21日(金)]
今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、血中カロテノイド類の濃度が高いと膀胱がん(尿路上皮がん)のリスクが低いという調査研究が、欧州のグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2012 Sep 5)



これまでの研究では、食事由来のカロテノイド類、ビタミンCと、膀胱がんリスクとの関連について、確定したデータは示されていません。

(予防/リスク低減作用を認めたとする研究と、そうではなかったというデータがあります。)



そこで、今回の研究では、血中カロテノイド類およびビタミンCの値と、尿路上皮がん(UCC)リスクとの関連が、症例対照研究によって検証されました。

(EPICNという研究の一環です。)



具体的には、尿路上皮がんと新規に診断された856名と、対照群856名を対象に、

血中カロテノイド類(α‐およびβ‐カロテン、β‐クリプトキサンチン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン)と血中ビタミンCが測定されています。



解析の結果、
血中カロテノイドの総計が大きいほど、尿路上皮がんのリスクが低くなることが見出されました。



四分位で最高群は、最低群に比べて、36%のリスク低下が示されています。

(P-trend = 0.04)



血中βカロテン値は、悪性度の高いUCCのリスクと有意に負の相関を示しました。

(四分位で49%のリスク低下。)


また、血中ルテイン値は、悪性度の低いUCCのリスクと負の相関を示しています。


なお、血中ビタミンC値とUCCリスクとの間に有意な相関は認められませんでした。




以上のデータから、
血中カロテノイド値が高いと、尿路上皮がんリスクが低いという相関が示唆されます。





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オリーブオイルによる皮膚の老化抑制作用 [2012年09月20日(木)]
今月の科学誌に、オリーブオイル摂取による皮膚の光老化抑制作用を示した臨床研究が、フランスのグループ(CE.R.I.E.S.)から報告されていました。
(PLoS One. 2012;7(9):e44490.)



オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸を主に含み、酸化ストレス抑制、インスリン抵抗性抑制、抗炎症作用などを有しています。


このため、オリーブオイルの利用は、心臓病など動脈硬化性疾患の抑制作用が知られています。


また、オリーブ(オリーブ・リーフ(葉)やオリーブ・オイル)には、オレユロペンやヒドロキシチロソールなどのファイトケミカルが豊富に含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用を介した生活習慣病の予防や改善効果が示唆されています。


例えば、エクストラバージンオリーブオイルには、オリーブポリフェノール(ファイトケミカル)が豊富に含まれるので、精製されたオリーブオイルよりも優れた機能性を示すことが臨床研究で示されています。


オリーブオイルは、地中海食で広く用いられており、動脈硬化性疾患のリスク低下を介した健康長寿に有用です。



さて、今回の研究では、
皮膚の光老化リスクと、単価不飽和脂肪酸摂取との関連が検証されました。


具体的には、横断研究として、45歳から60歳の男性1655名、女性1264名を対象に、食事調査が行われ、

2.5年間の追跡が実施されました。

(SUVIMAXコホート研究の一環です。)




解析の結果、

写真画像を用いた6段階スケールによる臨床所見の判定にて、

顔面の皮膚における光老化の重症度は、

単価不飽和脂肪酸の摂取量と負の相関が認められたということです。




男女とも、オリーブオイル由来の単価不飽和脂肪酸の摂取が多いと、

光老化リスクが低いという関連が見出されています。




一方、動物性食品や乳製品、肉類、加工肉類に由来する単価不飽和脂肪酸では、相関は示されませんでした。




以上のデータから、

オリーブオイルの摂取による顔面の光老化抑制作用が示唆されます。






オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸というだけではなく、最近の研究では、エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイルに含まれるファイトケミカル・ポリフェノールによる抗酸化作用の有効性も示されています。


オリーブオイルを多用する地中海食は、心臓病などの生活習慣病の予防効果を示し、抗炎症作用を有する抗炎症ダイエットであることがわかっています。





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コーヒーによる術後イレウス抑制作用 [2012年09月19日(水)]
今月の外科の専門ジャーナル(電子版)に、コーヒー摂取による術後イレウスのリスク低下作用を示した臨床研究が、ドイツのグループ(University Hospital Heidelberg)から報告されていました。
(Br J Surg. 2012 Sep 14.)



術後イレウス(腸閉塞)は、腹部の外科的処置の後にしばしば認められます。


今回の研究では、コーヒーの摂取によって、結腸切除術後のイレウスが減少する、という仮説が検証されました。



具体的には、

多施設共同オープンラベルランダム化比較試験として、

悪性あるいは良性の疾患にて、

開腹術もしくは、腹腔鏡下での結腸切除術を受けた患者80名を対象に、

術後に、コーヒーあるいは水のいずれかを1日3回、1回100mlずつ摂取させています。

(各群40名)


主アウトカムは、最初の腸運動までの時間、

副アウトカムは、最初のガスまでの時間、固形食の許容までの時間、入院期間などです。




水摂取群の1名が、手術変更のため除外されました。



ITT解析の結果、

最初の腸運動までの時間は、

水摂取群に比べて、コーヒー摂取群では有意に短くなっています。

(mean(s.d.) 60.4(21.3) vs 74.0(21.6) h; P = 0&#8226;006)



また、

固形食摂取までの時間(49.2(21.3) vs 55.8(30.0) h; P = 0.276)、

最初のガスまでの時間(40.6(16.1) vs 46.4(20.1) h; P = 0.214)も、

それぞれ同様の傾向にありますが、有意差は認められませんでした。


なお、入院期間は両群とも同様の値でした。


以上のデータから、
結腸切除術後のコーヒー摂取は、安全性が高く、最初の腸運動までの時間を短縮することが示唆されます。





興味深いデータですが、
日本では追試が行われないタイプの研究です。


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トコトリエノールとセサミンによる抗がん作用 [2012年09月18日(火)]
今月の生薬学の専門ジャーナル(電子版)に、γ‐トコトリエノールとセサミンの併用による抗がん作用を示した基礎研究が、米国のグループ(University of Louisiana)から報告されていました。
(Planta Med. 2012 Sep 17)


疫学研究では、ファイトケミカル類の摂取によるがんリスク低減作用(がん予防)が示唆されています。


γ‐トコトリエノールは、抗がん作用を示す濃度では、正常細胞に障害を与えないとされています。


また、セサミンは、乳がん細胞に対して、細胞増殖抑制作用、血管新生抑制作用を有しています。



そこで、今回の研究では、ビタミンEの1種であるγ‐トコトリエノールと、ゴマ由来のファイトケミカルであるセサミンに関して、乳がんにおけるシナジーが調べられました。



具体的には、乳腺上皮細胞を用いて、細胞増殖に対するγ‐トコトリエノールとセサミンのシナジーが検証されています。


ウエスタンブロットによる解析の結果、

両者の併用投与は、低濃度において、EGF誘導性ErbB3受容体およびErbB4受容体のリン酸化(活性化)を顕著に抑制し、

c-Rafリン酸化シグナルも有意に抑制したということです。



その他、対照群あるいは(γ‐トコトリエノールとセサミンの)単独投与群に比べて、

併用投与群では、

MEK1/2, ERK1/2, PI3K, PDK1, Akt, p-NFκB, Jak1, Jak2, Stat1といったシグナルについても抑制作用が見出されています。



以上のデータから、
乳がん細胞におけるEGF依存性細胞増殖シグナルは、γ‐トコトリエノールとセサミンの併用によるシナジーによって、抑制されると考えられます。




今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。



ビタミンEは、トコフェロールとトコトリエノールに分けられます。
さらに、トコフェロールとトコトリエノールのそれぞれが、α,β,γ,δの4種類であることから、合計8種類になります。




DHC製品では、


醗酵黒セサミン+スタミナ


醗酵黒セサミン+ビューティ


γ(ガンマー)-トコフェロール


トコトリエノール


天然ビタミンE


ビタミンE


などがあります。






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ケルセチンによる放射線障害抑制作用 [2012年09月17日(月)]
栄養学の専門ジャーナルに、放射線障害時におけるケルセチンの抗炎症作用を示した基礎研究が報告されていました。
(Nutr Res Pract. 2012;6(4):301-7.)



ケルセチンは、フラボノイド系ファイトケミカルの1種で、抗炎症作用や抗酸化作用を介した機能性が注目されています。



今回の研究では、放射線障害に対するケルセチンの作用が検証されました。


がん治療で用いられる放射線療法では、副作用として炎症が生じることから、補完療法としてのケルセチンの投与の意義を調べる目的です。


具体的には、
マウスを用いて、放射線障害として生じた炎症および免疫障害に対して、ケルセチンによる回復作用が測定されました。



放射線暴露2週間前から、暴露30日後まで、
10 あるいは40 mg/kg の2種類の用量でケルセチンが投与され、
対照群と比較が行われています。


解析の結果、
放射線暴露によって低下した脾臓細胞の増殖は、ケルセチン投与によって有意に亢進したということです。


サイトカイン類の産生は、放射線非暴露群に比べて、暴露群では、有意に増加しました。


暴露30日後では、
ケルセチン投与した暴露群において、IL-1βおよびIL-6の産生の有意な低下が認められました。




以上のデータから、放射線暴露による炎症に対して、ケルセチンの併用投与は、サイトカイン産生調節を介して保護作用を示すと考えられます。



今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。




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ビタミンDが低いと認知症リスクが高くなる:メタ解析 [2012年09月16日(日)]
認知症研究の専門ジャーナルに、ビタミンD値と認知症リスクとの関連を調べたメタ解析が、ドイツのグループ(Technische Universit&auml;t)から報告されていました。
(Dement Geriatr Cogn Disord. 2012;33(5):297-305)



ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。


多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。




認知症の予防に対して、関連する機能性成分や栄養素を検証するという研究方法が考えられます。


そこで、今回の研究では、ビタミンD値と認知症リスクとの関連が検証されました。


具体的には、認知機能障害とビタミンD欠乏を調べた横断研究5報および縦断研究2報から7,688名分のデータが対象となりました。


解析の結果、ビタミンD値が正常群に比べて、

ビタミンD値が低い群では、認知機能障害のリスクが高くなるという相関が見出されました。

(OR 2.39, 95% CI 1.91-3.00; p < 0.0001)



ただし、認知機能障害の評価方法、対象者、因果の逆転の課題、ビタミンD欠乏の定義の相違といった、各研究の不均質性の問題もあります。


今後、ビタミンDの低値と認知機能障害との因果関係について、質の高い介入研究による検証が期待されます。



近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。



また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。


(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)



今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。


日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。


たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足


血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い

というデータがあります。



DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。


ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、
という報告もあります。

マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。



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DHAサプリメントによる小児の行動への働き [2012年09月15日(土)]
今日、奈良新公会堂で学会にした。

演者に近い側の前方でみていると、能楽の舞台のため、土足禁止であり、欧米からの演者も靴を脱いで、演台に立ち、パワポを操作していました。



さて、今月の科学誌プロスワンに、オメガ3系脂肪酸(DHA)投与による小児の行動への作用を調べた臨床試験が、イギリスのグループ(University of Oxford)から報告されていました。
(PLoS One. 2012;7(9):e43909. Epub 2012 Sep 6.)




EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。




これまでの臨床研究では、
オメガ3系脂肪酸サプリメントの長期投与によって、小児の行動や学習の改善が示唆されています。


ただし、これらの研究の多くは、被験者の小児がADHDやDCD(協調運動発達障害)です。



そこで、今回の研究では、一般に健常とされている小児において、オメガ3系脂肪酸サプリメントによる読解力、ワーキングメモリ、行動への影響が調べられました。


具体的には、

イギリス(Oxfordshire)の小児362名(7歳〜9歳;健常範囲ではあるが、読解力が平均以下)を対象に、

1日あたり600mgのDHA

あるいは

偽薬が投与されています。

(ランダム化二重盲検偽薬対照試験)

(74校にて1376名が対象となり、362名がクライテリアに合致)



アウトカムは、リーディング、ワーキングメモリ、両親あるいは教諭による行動判断です。


ITT解析の結果、

開始時に読解力が5分位の最低群(n=224)では、

DHA投与によって、有意な改善が認められたということです。



(このサブグループは、論文著者らが本来の対象として試験デザインを行っていた群です。なお、被験者全体では有意差は見出されていません。)



また、ADHDに関連した症状について、両親によるレーティングで有意な減少(改善)が認められました。


(ただし、教諭によるレーティングでは、行動およびワーキングメモリなどについて、有意な変化は示されていません。)



以上のデータから、

全般に健常範囲ではあるが、小学校でのパフォーマンスが低い小児において、

DHAサプリメントの投与は、安全性が高く、かつ、読解力や行動障害の改善作用を有することが示唆されます。






乳幼児や小児の行動や学習能力に対するオメガ3系脂肪酸サプリメントの有効性を検証した研究が、欧米でいくつか知られています。


一致した結果は得られにくい分野ですが、特定のサブグループでは、一定の有用性が示唆されます。



なお、日本人では、食習慣が異なるため、比較は困難ですが、農水省の統計によると、肉類(畜産物)の摂取が増加し、魚類の摂取が減少している、というデータが示されています。


オメガ3系脂肪酸の供給源として、小型の青魚の摂取が推奨されます。



ただし、重金属の汚染リスクを考えると、妊婦や乳幼児では、オメガ3系脂肪酸サプリメントのほうが、安全で確実と思われます。



一般に、臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。

また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。

日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。

EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。

一般に、DHAは脳の栄養素、EPAは血管の栄養素といえるでしょう。




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リコピンと魚油による大腸がん抑制作用 [2012年09月14日(金)]
今月の分子栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、リコピンと魚油による大腸がん抑制作用を示した基礎研究が報告されていました。
(Mol Nutr Food Res. 2012 Sep 7.)




トマトには、カロテノイド系ファイトケミカルの1種であるリコピン(リコペン)が含まれています。



赤色色素のリコピンは、抗酸化作用や抗がん作用を有しており、疫学研究では、肺がんや大腸がん、前立腺がんのリスク低減作用が知られています。



また、先行のin vitro研究では、リコピンとEPA(オメガ3系脂肪酸)の併用投与によって、ヒト大腸がん細胞(HT-29)の増殖が相乗的に抑制されたというデータがあります。



そこで、今回の研究では、大腸がんモデルを用いて、リコピンと魚油の投与による抗がん作用が検証されました。



具体的には、大腸がん異種移植マウスに対して、

リコピンと魚油投与後の腫瘍増殖に対する影響がウエスタンブロットや免疫組織学的所見で検証されています。



解析の結果、

担癌マウスでのリコピンと魚油の投与によって、

大腸がん細胞抑制作用、

p21(CIP1/WAF1) やp27(Kip1)といった細胞周期関連分子への阻害作用、

β-catenin、cyclin D1、c-Mycといったタンパク質発現の抑制作用が見出されたということです。


これらの抑制作用は、MMP-7, MMP-9, COX-2,PGE2などの腫瘍増大に関与する分子の抑制を介しているというデータも認められています。



以上のデータから、
リコピンや魚油による大腸がん細胞の増殖抑制作用が示唆されます。



今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。




EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。




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ブルーベリーによる抗炎症作用 [2012年09月13日(木)]
今月の分子栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、ブルーベリー(ビルベリー)による抗炎症作用を示した臨床研究が、フィンランドのグループ(University of Eastern Finland)から報告されていました。
(Mol Nutr Food Res. 2012 Sep 7.)



ブルーベリー(Vaccinium myrtillus)には、アントシアニン系ファイトケミカルが存在し、抗酸化作用や抗炎症作用を介した生活習慣病の予防と改善が示唆されています。


(サプリメントでは、糖度が高い食用ブルーベリーではなく、アントシアニン類の豊富な野生種のブルーベリー/ビルベリーが用いられます。)



慢性炎症は、がん、肥満、動脈硬化性疾患(心臓病や脳卒中など)の原因となる病態です。


機能性食品素材の抗炎症作用を介した予防や改善が期待されます。



さて、今回の研究では、ビルベリーによる抗炎症作用が検証されました。


具体的には、

・ビルベリー高含有食(1日あたり400グラムのフレッシュビルベリー)摂取群(n = 15)

・対照群(通常食摂取群) (n = 12)

の2群に分けて比較が行われています。


介入後、
炎症関連マーカーであるhsCRP、IL-6、IL-12、LPSは、ビルベリー投与群において低下(改善)傾向が認められたということです。



炎症スコアは、両群間において有意差が認められました(p = 0.024)。



ただし、体重や糖代謝、脂質代謝指標に変化は認められませんでした。

(なお、ビルベリー投与群の被験者3名では、OGTTでの改善が認められたということです。)




トランスクリプトーム解析では、TLRシグナル、B細胞受容体シグナル等において両群間での差が示唆されました。


その他、単球やマクロファージの機能に関係する細胞内分子においても変化が検出されています。



以上のデータから、
ブルーベリー/ビルベリーの摂取による抗炎症作用が示唆されます。



今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。






食用のブルーベリーにもアントシアニン類は豊富に含まれます。
(アントシアニンは、植物の紫色の色素です。)

ただし、果糖やカロリーの摂取を考えると、
ブルーベリーサプリメントを毎日利用するほうが、確実であり、医学的にも合理的です。





DHCでは、ブルーベリーを製品化しています。


ブルーベリーは、目の健康維持のためのサプリメントというイメージですが、抗酸化作用や抗炎症作用を介した幅広い機能性が注目されており、目に限らず広く働きが期待される成分です。



一般に、果物には、ファイトケミカル・ポリフェノールが豊富に含まれており、それらの抗酸化作用や抗炎症作用を介した健康保持・疾病予防効果が期待されています。


一方、果物には糖質の1種である果糖(フルクトース)が含まれており、糖分の摂取が多くなることで、肥満やメタボリック症候群、糖尿病といった生活習慣病のリスクになるという議論もあります。


最近の研究では、

果糖は太りやすいわけではない

というデータも示されています。



といってもやはり、果糖の摂りすぎには注意が必要でしょう。



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ノコギリヤシによる前立腺肥大症・前立腺炎に伴う各種症状の改善 [2012年09月12日(水)]
泌尿器科学の専門ジャーナルに、ノコギリヤシ投与による前立腺肥大症および慢性前立腺炎に伴う下部尿路症状、勃起障害スコア、QOLの改善作用を示した臨床研究が、イタリアのグループから報告されていました。
(Arch Ital Urol Androl. 2012 Jun;84(2):94-8.)



男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。


良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。




(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)


また、前立腺肥大症(BPH)は、勃起障害(ED)の原因ともなりますし、
BPHの治療に用いられるαブロッカーや5-α-還元酵素阻害薬といった薬の副作用として、EDが生じるリスクもあります。


一方、ハーブサプリメントでは、ノコギリヤシが、軽症から中等度のBPHの症状改善に有用であることが、これまでに多くの臨床研究によって示されています。



さて、今回の研究では、慢性前立腺肥大症であり炎症を有する患者を対象に、ノコギリヤシ投与による下部尿路症状(LUTS)、性機能、QOLに対する作用が検証されました。


具体的には、591名の患者が対象となり、(イタリアの製品の一つであるPermixonという)ノコギリヤシが投与されています。

(患者群には、前立腺肥大症患者と、慢性前立腺炎患者が含まれています。)


IPSS(国際前立腺症状スコア)、NIH-CPSI(米国NIH慢性前立腺症状スコア)、IIEF-5(国際勃起機能スコア)といった指標が、過去6ヶ月間との比較で測定されています。



解析の結果、

6カ月間のノコギリヤシ(Permixon)投与によって、

尿流速計での値の有意な改善、

下部尿路症状の有意な改善、

IPSS、NIH-CPSIスコアの有意な改善が認められたということです。


また、IIEF-5(国際勃起機能スコア)の有意な改善も示されています。





以上のデータから、
ノコギリヤシの6ヶ月間投与によって、前立腺肥大および慢性前立腺炎に関連した下部尿路症状や勃起障害の症状改善作用が示唆されます。








DHCでは関連製品として、

ノコギリヤシ


マカ


トンカットアリ


複合サプリメント

などがあります。




ノコギリヤシに関しての臨床試験や基礎研究では、次のような報告があります。


・ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害の症状改善作用


・前立腺の健康維持にはノコギリヤシ+リコピン+セレン


・ノコギリヤシによる細胞増殖抑制作用


・ノコギリヤシによるBPH症状改善作用



・ノコギリヤシの前立腺肥大症改善作用



・前立腺切除術前のノコギリヤシ投与の効果


・ノコギリヤシ複合サプリによる慢性前立腺炎改善効果


・ノコギリヤシ・カボチャ種子による前立腺肥大症


・前立腺切除術の出血にノコギリヤシは影響しない



・ノコギリヤシでは医薬品との相互作用報告はなし



・男性型脱毛症とノコギリヤシ


・ノコギリヤシの安全性に関する系統的レビュー


・前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ





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フランス海岸松樹皮抽出物による顔面皮膚の光老化改善作用 [2012年09月11日(火)]
臨床加齢研究の専門ジャーナル(電子版)に、フランス海岸松樹皮抽出物による顔面皮膚の光老化改善作用を示した臨床研究が、福岡大学のグループから報告されていました。
(Clin Interv Aging. 2012;7:275-86.)



フランス海岸松(French maritime pine)の樹皮には有効成分としてファイトケミカル系フラボノイド類(プロアントシアニジン)が豊富に含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用を介したさまざまな機能性が報告されています。



今回は、皮膚の光老化に対するフランス海岸松樹皮抽出物の作用が検証されました。

(光老化とは、紫外線暴露による皮膚の老化現象であり、加齢に伴ってみられる皮膚のしわやシミなどです。)



具体的には、軽度から中程度の光老化を示す女性112名を対象に、

1日あたり100mg、あるいは1日あたり40mgの

フランス海岸松樹皮抽出物が12週間、投与され、関連指標が測定されています。

(オープンラベル試験。1日1回投与)


解析の結果、

臨床指標である皮膚光老化スコアは、

100mgと40mgの両群において、

有意に改善し、

色素沈着の有意な減少が認められたということです。




以上のデータから、

フランス海岸松樹皮抽出物の経口摂取により

光老化を生じた皮膚の肌質を改善する作用が示唆されます。





光老化の予防には、紫外線を避けることが最も重要です。


DHCでは、フランス海岸松に由来する機能性食品素材として、
ピクノジェノールを製品化しています。






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