今日、奈良新公会堂で学会にした。
演者に近い側の前方でみていると、能楽の舞台のため、土足禁止であり、欧米からの演者も靴を脱いで、演台に立ち、パワポを操作していました。
さて、今月の科学誌プロスワンに、オメガ3系脂肪酸(DHA)投与による小児の行動への作用を調べた臨床試験が、イギリスのグループ(University of Oxford)から報告されていました。
(
PLoS One. 2012;7(9):e43909. Epub 2012 Sep 6.)
EPAや
DHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。
これまでの臨床研究では、
オメガ3系脂肪酸サプリメントの長期投与によって、小児の行動や学習の改善が示唆されています。
ただし、これらの研究の多くは、被験者の小児がADHDやDCD(協調運動発達障害)です。
そこで、今回の研究では、一般に健常とされている小児において、オメガ3系脂肪酸サプリメントによる読解力、ワーキングメモリ、行動への影響が調べられました。
具体的には、
イギリス(Oxfordshire)の小児362名(7歳〜9歳;健常範囲ではあるが、読解力が平均以下)を対象に、
1日あたり600mgのDHA
あるいは
偽薬が投与されています。
(ランダム化二重盲検偽薬対照試験)
(74校にて1376名が対象となり、362名がクライテリアに合致)
アウトカムは、リーディング、ワーキングメモリ、両親あるいは教諭による行動判断です。
ITT解析の結果、
開始時に読解力が5分位の最低群(n=224)では、
DHA投与によって、有意な改善が認められたということです。
(このサブグループは、論文著者らが本来の対象として試験デザインを行っていた群です。なお、被験者全体では有意差は見出されていません。)
また、ADHDに関連した症状について、両親によるレーティングで有意な減少(改善)が認められました。
(ただし、教諭によるレーティングでは、行動およびワーキングメモリなどについて、有意な変化は示されていません。)
以上のデータから、
全般に健常範囲ではあるが、小学校でのパフォーマンスが低い小児において、
DHAサプリメントの投与は、安全性が高く、かつ、読解力や行動障害の改善作用を有することが示唆されます。
乳幼児や小児の行動や学習能力に対するオメガ3系脂肪酸サプリメントの有効性を検証した研究が、欧米でいくつか知られています。
一致した結果は得られにくい分野ですが、特定のサブグループでは、一定の有用性が示唆されます。
なお、日本人では、食習慣が異なるため、比較は困難ですが、農水省の統計によると、肉類(畜産物)の摂取が増加し、魚類の摂取が減少している、というデータが示されています。
オメガ3系脂肪酸の供給源として、小型の青魚の摂取が推奨されます。
ただし、重金属の汚染リスクを考えると、妊婦や乳幼児では、オメガ3系脂肪酸サプリメントのほうが、安全で確実と思われます。
一般に、臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。
日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。
一般に、DHAは脳の栄養素、EPAは血管の栄養素といえるでしょう。
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