脂肪細胞には、「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の2種類があります。
肥満の定義である「脂肪細胞の過剰な蓄積」という場合の「脂肪細胞」は、「白色脂肪細胞」です。
白色脂肪細胞はエネルギー源としての脂肪を蓄える細胞であるのに対して、
褐色脂肪細胞は、エネルギーを消費して熱産生を行う働きを有しています。
げっ歯類には肩甲骨の間に褐色脂肪組織が存在し、
寒冷時における体温維持のために働いています。
一方、ヒトの場合、褐色脂肪細胞は、
従来、
新生児や乳幼児では存在するが、
成人では失われてしまい、存在しない、
とされてきました。
新生児や乳幼児では筋肉が発達していないため、寒冷刺激時に、非震えによる熱産生機能が低く、それを補うために、BAT(褐色脂肪組織)が存在する、
と理解されています。
(寒いときに体が震えるのは、筋肉を収縮させて熱産生を行い、体温維持を図るためです。これに対して、BATは非震えによる熱産生を行います。)
ところが、近年の研究により、ヒト成人でも一定量の褐色脂肪細胞が存在することが証明され、肥満の予防や治療における臨床的意義が注目されています。
BATに関する最近の研究による知見は、次のようになっています。
・2003年、米国のグループが、FDG-PET/CTを用いて、ヒト成人においてBATの存在を報告。
・ヒト若年成人では、寒冷暴露刺激において、BATがFDG-PET/CTを用いて検出可能。
・ヒト成人のBAT量は、50グラムから60グラムあるいは、80グラムから90グラムほどとされています。(研究報告によって異なります。)
(ちなみに、ヒト成人のBAT量を50グラムから60グラムとした場合、これは、1年間で4キログラムの白色脂肪細胞を燃焼させるエネルギー消費に匹敵するということです。)
・北海道大学のグループによる日本人を対象にした研究では、
ヒト成人におけるBAT量の中央値は、80グラムから90グラムです。
(ただし、個人差が大きく、測定値はゼロから468グラム。)
・BAT量は、60歳以上ではほぼゼロですが、
若年成人では検出されます。
また、寒冷刺激によってBATが検出可能となります。
・肥満者ではBAT量が少ないことがわかっています。
・同一個人でも、BAT量に季節性の変動があります。
具体的には、夏場はBATがなく、冬にBATが存在という報告があります。
(そのため、臨床研究は1月を中心に行われています。)
・一般に、BAT量は、加齢とともに減少し、かつ、BMIとは負の相関を示します。
・寒冷刺激以外に、食品成分でもTRPチャネルへの慢性的刺激を介して、ヒト褐色脂肪組織が増量することが知られています。
具体的には、カプシノイド(カプサイシン)示されており、6週間の投与で、エネルギー消費量の増大が報告されています。
・理論的には、カプサイシン(カプシノイド)だけではなく、ニンニクのアリシン、シナモンアルデヒド、ミントのメントール、ワサビのイソチオシアネート、ショウガオールなどでも同様の作用が推定されます。
・仮説として、次のような考えが可能です。
(BMIとBAT量が負の相関を示すことから)
BAT量が少ないと、エネルギー消費量が低く、肥満になりやすい、
機能性食品成分を投与することで、BATが増量すれば、肥満の改善になる可能性あり。
この数年、ヒト成人肥満における褐色脂肪組織の臨床的意義が注目されています。
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