栄養学の専門ジャーナルに、糖代謝と発がんリスクの関係を検討したメタ分析が、イタリアのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2008;87:1793-801.)
がん(癌)の発症には糖代謝の関与が示されており、これまでにグリセミック指数(GI)やグリセミックロード(GL)と発がんとの関係が調査されてきました。
今回の研究は、GIおよびGLと発がんリスクについての既報のメタ分析です。
2007年10月までに発表された、症例対照研究とコホート研究の39報が解析された結果、GIとGLのいずれも、大腸がんおよび子宮内膜がんとの相関が認められました。
つまり、GIやGLが高いと、これらの発がんリスクが高くなるという関係です。
(大腸がんではGL;RR= 1.26、GI;RR=1.18。子宮内膜がんではGL;RR=1.36、GI;RR= 1.22)
一方、乳がんでは、研究間のバイアスを補正すると、GIやGLとの相関関係が消失したということです。
また、膵臓がんとの関係は認められていません。
以上のデータから、GIやGLの高い食事は発がんリスクと相関することが示唆されます。
肥満になると発がんリスクが増加することが知られています。
そのため、がんの予防には、食事と運動に加えて、肥満の改善が重要です。
今回の研究は、肥満ではなく、GIおよびGLといった指標について検討し、糖代謝(炭水化物の代謝)と発がんとの相関を示したことに意義があると考えられます。
食後過血糖を生じやすい単純炭水化物については、摂取を控えるほうがよさそうです。
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