栄養学のジャーナルに、植物性食品や低脂肪乳製品の摂取が多いと微量アルブミン尿のリスクが低い、という調査研究が発表されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 87: 1825-1836.)
アルブミンはタンパク質の1種であり、正常な状態では尿中には排泄されることはありません。
しかし、糖尿病性腎障害などでは、尿中に微量アルブミン(microalbuminuria)が検出されることから、腎血管障害の早期診断の指標に用いられています。
今回の研究では、動物性食品と植物性食品の摂取のバランスが、腎臓の血管に及ぼす影響について、微量アルブミン尿を指標に調査が行われました。
5,042名の被験者(45-84歳)を対象に、研究開始時点において、食事内容についての調査、尿中(随時尿中)のアルブミン/クレアチニン比(ACR)の測定が実施されています。
(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)
(このとき、被験者では、臨床的に有意な心血管疾患、糖尿病、たんぱく尿/アルブミン尿は認められていません。)
食事内容では、植物性食品(果物、果汁、野菜、ナッツ・豆類、全粒穀物、精製穀類)、動物性食品(肉類、加工肉類、家禽類、魚類、高脂肪乳製品、低脂肪乳製品)、乳製品以外の動物性食品の摂取が解析されました。
交絡因子の補正後、全粒穀類、果物、野菜、低脂肪乳製品の摂取が多いと、ACRが有意に低くなるという相関が認められたということです。
この相関は、全動物性食品や全植物性食品の摂取では認められていません。
また、低脂肪乳製品の摂取ではACRの有意な低下が示されていますが、乳製品以外の動物性食品の摂取では逆にACRの有意な増加が認められました。
以上のデータから、全粒穀類、果物、低脂肪乳製品の摂取は、腎臓血管障害のリスクを下げることが示唆されます。
一方、乳製品以外の動物性食品の摂取と微量アルブミン尿との相関が認められたことから、腎障害のリスクを有する場合には過剰な摂取を控えるほうが良さそうです。
|